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ラグリパ対談 丸山桂里奈×ラグマガ編集長「ラグビー教えて!編集長!!」

2019.09.28

丸山さん
日本代表、勝ちましたね!わたしも興奮しました!ワールドカップの初戦、選手の皆さんの緊張ぶりも伝わってきて…逆転してくれて本当によかったです!

田村編集長
おお!熱くなってくださって、私たちもうれしいです。うちのサイトもサーバーが落ちそうなくらい読者が集まってくださって、一気に盛り上がってきたのを感じています。

丸山さん
せっかくの機会ですから、私も本腰を入れて観戦したいなと。ですのでよろしければ、ラグビーのルールの基本から教わりたいです。最初に覚えた方がいいことは何ですか?

見た目から本腰で!

田村編集長
ひとつめは、ボールを前にパスをしちゃいけないこと。他にもボールを前に落としてはいけないというルールもありますが、これは反則というよりも落とした選手のミスというイメージです

丸山さん
投げる時にボールを地面にバウンドさせるのはありですか?

田村編集長
わざとそうする人はあまりいませんが、別に大丈夫です。とにかく、パスの方向は真横より後ろならセーフです。

丸山さん
真横かどうかなんて、誰が判断するんですか? 

田村編集長
実際、選手は前に走りながらパスを投げます。だからその選手が真横に投げても、慣性の法則でボールの到達地点が前になることもあります。その範囲であれば、前に投げたことにはなりません。腕の動きも含めて真横に投げていると見られていながら、風が吹いたせいでボールが前に飛んでいってしまうのもセーフ。ただし、投げる時の身体や腕が前に向かっていた場合は、前に投げてしまったと見られてスローフォワードという反則を取られます。

丸山さん
スローフォワード…。何か、聞いたことがあります! とにかく、パスをする瞬間に前に投げていると見られたらダメなんですね。

日本の攻撃のカギはお風呂で…??

田村編集長
ちなみにパスで言えば、今回の日本代表は「オフロードパス」というのが攻撃のカギのひとつになっています。

丸山さん
えっ?お風呂で…?

田村編集長
オフロードパス、です!(笑)パスを出す前にタックルを受けたら、倒れながらボールを守るのが普通なのですが、倒れながらパスを出す。片手になったりするので、ボールを奪われたりミスしたりのリスクは大きいのですが、つながればチャンスになります。

丸山さん
ああ!それちょっと分かります!サッカーでも相手を引き付けてからパスをした方が、リスクはあるけどチャンスになる。同じような感じですね!

サッカーと共通項も?

丸山さん
次は、グラウンドについても聞きたいです。開幕戦はサッカーでも使われている東京スタジアム(味の素スタジアム)が会場でした。サッカーみたいに、男女とも同じ広さのグラウンドを使うんですか?

田村編集長
一緒です。縦100メートル以内、幅70メートル以内。グラウンドの両サイドにはゴールラインと平行な22メートルラインと10メートルラインが定められているので、グラウンドごとの大きさの差はそれほどありません。左右幅だけは場所によって少し違うかな…というくらいです。

丸山さん
狭い方が選手は疲れないですよね。

田村編集長
疲れないけど、スペースが少ない分ディフェンスを抜くのが難しくなります。一方で、キックを蹴る人は縦幅が短い方が嬉しい。

丸山さん
うわぁ、深いです。好みのグラウンドの広さは、選手の特徴によって違うんですね!

丸山さん
一度、お仕事でラグビーの試合を観に行ったことがあります。足で一気にボールを蹴られるサッカーより、手で丁寧にボールを繋ぐラグビーの方が疲れるように感じました。

田村編集長
きょうはパスが多かったから疲れたなぁ、ということは…ないですね。

たくさんパスをつなぐと疲れる、ではない??

丸山さん
そうなんですか?

田村編集長
サッカーには前へのパスを追う動きがあるけど、ラグビーでそれをやるのは両タッチライン際のウイングの選手ぐらい。走行距離はサッカーほどじゃないのかなって。それよりも、人と人とが激突するコンタクトで疲れますね。相手にぶつかって、倒れて、すぐに起き上がって、またぶつかる…。それが、疲れます。

丸山さん
本当だ! 普通に道を歩いている時に向こう側の人から肩をぶつけられただけでも、かなり体力は奪われるのに…。

田村編集長
それはそれで、体力よりも気分が損なわれるような…。

丸山さん
で、それがラグビーでは、ひとつのボールを奪い合うために人と人とが本気でぶつかるんですよね? 

田村編集長
アメフトと違って、ボールを持っている人しかタックルされませんけどね。

丸山さん
でも、そのボールを持っている人に対してなら何人で当たりに行ってもいいんですよね?  一体、何をしたらファウルになるんですか?

田村編集長
胸より上へのタックルは危険だからダメです。

タックルは足へ!(右は元・日本代表の伊藤剛臣さん)

丸山さん
じゃあ、怪我も多いんじゃないですか?

田村編集長
「あんなにぶつかり合っている割には…」という感じだと思います。基本的に不意打ちはほとんどなく、ボールを持っている人も「誰かがタックルしに来るだろう」と思って走っていますから。

丸山さん
へぇ…。イメージでは、毎回、誰かが靭帯を切っているくらいに思っていました!

キーワード?「ボーナスポイント」とは

丸山さん
開幕戦を見ていて思ったのですが、ラグビーには「ボーナスポイント」なんてものがあるんですね。

田村編集長
はい。リーグ戦は勝てば勝ち点4が入るのですが、さらにその試合でチームとして4トライ以上決めることができると、ボーナスポイントとして1が加算されます。

丸山さん
それで日本は、アイルランドと並んで勝ち点5、なんですね!サッカーだと「試合終盤、1点差を守って勝ち点3を取りにいく」みたいなこともありますけど、ラグビーはさらに攻めればご褒美があるんですね。

田村編集長
そうですね。4年前はそのボーナスポイントの差で、次のラウンドに進めなかったこともあります。初戦ロシア戦のボーナスポイントは、本当に大きい。

スタジアム観戦のススメ

丸山さん
開幕戦が終わった直後にあわてて調べたのですが、日本戦のチケットは売り切れてました。でも、どこのカードでもいいからみてみたいかも、と思ったりもします。なので、ラグビーのおすすめの見方も教えて欲しいです。スタジアムへ行くならどこの席に座ったら楽しいですか?

田村編集長
好みによります。ゴールポストの後ろで試合を観ると、ディフェンスのどこが空いているのかがわかる。メインスタンドやバックスタンドの上の方に行けば、両チームの全体の動きが見えます。一方で、前の席なら人と人とがぶつかる音、選手の声が聞こえますよ。

丸山さん
私が一度試合を観た時は、バックスタンド前方の少し右側に座りました。そのエリアって、プレーが間近で見られるうえに試合後の選手たちが近くに来てくれるんですよね。

サッカーだとスタンドをぐるっと回ってそのまま帰っていくパターンが多いですが、ラグビー選手ってかなりグラウンドに残ってくれます。1人ひとりのファンと喋ったり、サインを書いたり。疲れているだろうに優しいな、って思いました。

田村編集長
選手のなかには『ラグビーはマイナースポーツ。自分たち1人ひとりがファンを大事にしなきゃいけない』という意識があるんです。

丸山さん
その場にいることで、ファンの方は『また観に行きたい』と思うはずです。そのなかで『推しメン』ができれば、より応援に力が入って面白そう。それと私が観に行ったのはサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに日本から参加するチーム)の試合だったんですけど、会場で売られていたグッズも面白かった。サンウルブズのパンツは私の勝負パンツです!

食べ物もおいしかった。私たちの時代のなでしこリーグの会場では、カップラーメンを売っているのにお湯がない…みたいなことも多くありました。だからスタジアムでおいしいものがあると、それを目当てに来る人もいたんです。食事が充実しているのって、大事です。


大人気!「大阪弁のトモさん」って誰?

丸山さん
開幕戦を見ても、カッコいい選手が多いなと感じましたが、田村さんおすすめの選手はいますか?

田村編集長
逆に聞きますが、丸山さんはアスリート目線でどんなタイプの選手が気になりますか? 

丸山さん
私はサッカーではドリブルでディフェンスを抜いていくタイプでした。もちろん自分みたいに相手を抜いていく選手も好きですが、いまはそれを食い止めるディフェンスの選手に興味があります。たとえ日の目を浴びなくても、献身的なディフェンスをする選手!

田村編集長
何回でも地味なプレーを続ける選手には、トンプソン ルークさんがいます。2007年に始まって、今度が4度目のワールドカップ。38歳で頑張っています。凄いですよ、何回でも当たりに行くし。

丸山さん
実際、そういう選手が頑張っているからこそ他の人がプレーしやすいこともありますよね。トンプソンさん、注目します!

田村編集長
トモさん、って呼んであげてくださいね。大阪弁も達者です。

丸山さん
大阪弁のトモさん!急に親しみがわきます!

自国開催の「意義」とは…

丸山さん
それにしてもワールドカップが日本であるなんて、凄くないですか?

田村編集長
ラグビー界にとっては、日本でワールドカップがあること自体がびっくりの出来事です。まだ今回が9回目と歴史が浅い大会で、それまでは強豪国での開催が主。ワールドカップをしたことのない国は、他にたくさんあるんです。

丸山さん
じゃあ、より楽しみですね。最近は共演者の方への差し入れに、ラグビー選手の付箋を貼らせていただきます。私はサッカー選手でしたけど、今年はラグビーワールドカップがあるのでなるべくラグビーのものを使いたいんです。試合に観に行ってそれだけの魅力があると思ったし、やっていた競技こそ違えどワールドカップの凄さはわかるので。自分がやっていないスポーツを応援することで、スポーツ全体が盛り上がる。日本に住む者として、ワールドカップを盛り上げる使命があると思っています。

ラグビーのプレーにもチャレンジしてみました!

田村編集長
今回、ファンの方はこれまでにないラグビーの楽しみ方や文化に気づきます。ワールドカップを転機に日本のラグビーが変わってくれれば。

丸山さん
ラグビーも、日本代表が前回大会で南アフリカ代表に勝ったようなことが日本で、目の前で見られたら、いろんなことが変わる。そのためには選手にはもちろん期待しますが、これまでラグビーに関わってこなかった方も実際にラグビーボールを触ってプレーする難しさを経験したり、観に行って応援したりといったことに力を入れて欲しいです。

大番狂わせ、再び…?

田村編集長
前回のワールドカップイングランド大会では、日本代表が南アフリカ代表に勝ちました。これは本当にすごいことなのですが、丸山さんはワールドカップで世界一になりましたよね。

丸山さん
開幕前は空港に記者さんもいなくて、予選落ちするのではと言われていました。開幕後はトーナメントに進む前の試合で負けて、皆で話し合ってチームを立て直し、それまで勝てなかったドイツ代表、アメリカ代表に勝って盛り上がりました。私たちも優勝できると思っていないなか、優勝しました。勝てない相手に勝つと、チームはすごく成長します。だから4年前に南アフリカ代表に勝った日本代表は今回、いい結果を残せる気がします。ラグビーで日本代表が優勝する可能性って、どれくらいありますか?

田村編集長
海外のブックメーカーで見たら、数百分の1くらいかもしれません。一番強いと言われているのは、2連覇中のニュージーランド代表ですね。

丸山さん
日本代表が勝つのは無理ですか?

田村編集長
うーん。なかなか難しいですが、4年前、南アフリカ代表に勝つ可能性はないと言われていたけど…。

丸山さん
それが、起こったんですよね! ピッチのなかで行われていることに予想はつかないじゃないですか。私は0.01パーセントの可能性があれば勝てると思っちゃう。本当に、何があるかはわからない。

田村編集長
南アフリカ代表戦があってから、ラグビー界でもそういう雰囲気ができました。過去を経験している人は心配でしょうがないんです。ただ、実際にやっている選手は自信を持っています。…改めて、なでしこジャパンは何で勝てたのですか?

丸山さん
2008年の北京オリンピックでようやく4位になったんです。そこで『メダルを獲れるか獲れないかで、差があるんだ』という感覚を掴めました。以来、パスサッカーをめちゃくちゃ極めて、ワールドカップでは足の速い選手やドリブルの得意な選手がサブに入っていて…と、バランスが良い状態だったと思います。それと、監督がスタメンとサブの間の気持ちが離れないようにしていました。チームがひとつになっていて、勝っていくたびに『あれ? 私たちって、負けないかも?』という気持ちになりました! …これって、何なんですかね?

田村編集長
…わかりません! ただ、積み重ねがあったのは確かなようですね。

丸山さん
そう、積み重ねです! ラグビーでも前回大会を経験した人がいるし、私、めちゃくちゃ楽しみなんですけど! 結果はともかく、何が起こるかがわからない期待がすごく大きい。私は、そういう目線で見ていきたいです。

丸山桂里奈さんが元日本代表・伊藤剛臣さんとラグビーに挑戦した「ラグビー体験記」はこちら↓

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