ラグビーリパブリック

真夏の夜に熱闘へ。トンガには力強い「高」の文字、日本の長谷川コーチは「いらんかな、俺」。

2019.08.02

高知県を意味する「高」の文字が記された帽子を手にするトンガ代表のシアレ・ピウタウ主将(撮影:BBM)

 パシフィック・ネーションズカップ第2戦を翌日に控えた日本代表とトンガ代表が、8月2日、東大阪市の花園ラグビー場で前日練習をおこなった。
 午前11時の気温36度、湿度53%、体感気温44度の酷暑の中、先に練習をおこなったのはトンガ代表。練習後、トウタイ・ケフ監督と、シアレ・ピウタウ主将が会見に臨んだ。

 ケフ監督は日本とフィジーの開幕戦を「接戦もしくはフィジーの勝利」と予想(結果は34-21で日本が勝利)。それだけに「日本は素晴らしい出来だった。我々をやりやすい相手と思っているかもしれないが、こちらも日々進歩している」と自らを挑戦者の側に置いた。
 ケフ監督はクボタでプレー経験があり、ピウタウ主将もヤマハで5シーズンプレー。どちらも花園ラグビー場は馴染みの存在。ケフ監督は「花園は日本ラグビーにとってアイコニックな存在。明日の試合で、トンガがどんなラグビーをしようとしているのかを見せたい」と意気込んだ。

 会見場の机の上には、「高」の文字と「イカレ・タヒ」と記された帽子が置かれていた。トンガはワールドカップの事前キャンプを高知県で実施する。ワールドカップ出場が決まる前から高知県と交流があり、今回もトレーニングウエアの到着が間に合わず、さまざまな面で高知県のサポートを受けたという。会見で着用したポロシャツの背中にも、高知県内のスポンサーの名前が書かれていた。「イカレ・タヒ」はトンガ代表の愛称である。

背番号1でトンガ戦に臨む稲垣啓太(撮影:BBM)

 日本代表は11時半から練習。終了後、長谷川慎スクラムコーチ、WTB松島幸太朗、PR稲垣啓太が取材に応じた。
 フィジー戦はスクラムの新ルールでの初めての試合となったが、「ルール通りに考えすぎたかな」と長谷川コーチ。「バインドの距離というより、HOの足の位置。映像で見ていたより、近くてよかったのかなと」。稲垣は「(相手との距離は)最初こそ遠かったが、後半になるにつれ、お互い体重を前にかけるようになって、レフリーが捌ききるのが難しいと感じた」と振り返る。長谷川コーチが助言しようとしたところ、ウォーターボーイを務めていた布巻峻介に「すでに(選手たちで)話し合ってます」と聞き、「いらんかな、俺(笑)」。選手の成長を感じた試合になった。

右WTBで先発する松島幸太朗(撮影:BBM)

 一方、フィジー戦で2トライを奪った松島は、トンガ戦を「キックが多くなる」と言う。「外にスペースがあれば、プラン通りにやるのではなく、この前みたいに臨機応変に対応したい。完全にトライをとれるとき、無理なときの見極めが大事」。コンディション的には「今すぐ(ワールドカップを)できる感じ」と上々だ。

 東大阪市の明日の予想最高気温は36度。19時10分キックオフとはいえ、過酷な状況での試合になるのは確実。だが稲垣は「暑さがどう、という話はチームでは出ていない」とサラリ。「宮崎でも暑い中でやってきた。大事なのはその状況の中で80分間、やるべきことをどのくらいのレベルで遂行できるか」
 真夏の夜のテストマッチ。連勝で締めくくってフィジー遠征に出発したい。