ラグビーリパブリック

職人技満載。オーストラリア代表と南アフリカ代表の新ジャージーは優れもの。

2019.06.13

菊谷崇氏(左/元日本代表主将)と、2015年W杯時にワラビーズを率いたスティーブン・ムーア元主将。(撮影/松本かおり)



 それぞれのチームのプレースタイルとポジションの特性により、ジャージーの作りも機能性も変える。
 オール・フォー・プレーヤーの姿勢と技術の高さが伝わった。
 6月11日、オーストラリア代表と南アフリカ代表のオフィシャルサプライヤーであるアシックスが、今秋のワールドカップで両代表チームが使用する新ジャージーのお披露目会を催した。

 アシックス原宿フラッグシップには2015年ワールドカップでオーストラリア代表を率いたスティーブン・ムーア元主将と、2011年大会で日本代表の主将を務めた菊谷崇氏が登場。トークショーを通し、選手目線のジャージー観を語った。

 最先端機能が散りばめられた新ジャージーのコンセプトは「アンストッパブル」だ。
 同社は選手たちの声に耳を傾け、ピッチ上で起こっていることを分析。「前に進むことを邪魔されるときがもっとも不快」という多くの選手たちの意見と、ジャージーを掴まれたときのタックル成功率の高さに着目した。

「アンストッパブル=止められない」工夫が選手たちのパフォーマンスを支える。
 伝統的にFWの結束力が最大の武器である南アフリカ代表のジャージーの脇にはグリップを強くする工夫が施され、ランニングスタイルが伝統のオーストラリア代表のものには、腕を振りやすいように、走りやすさを追求する。
 FWとBKでも違う。セットプレーに力を注ぐ男たちのためには、パンツにグリップ性を高める素材を使い、BK用には、キックを蹴りやすい形状が用いられる。

 つかまれたとしても伸びない。よりフィット。そして速乾性。選手たちの体の3D計測など、テクノロジーを駆使して出来上がった傑作だ。
 機能性の説明を聞いたムーア元主将は「ジャージーが進化し続けることは選手にとっても誇り」と話し、菊谷氏も「選手がいちばん厄介に感じている部分が解消されるのはとてもいいこと」と感想を口にした。
 戦術などの画一化が進む中、ジャージーなどの機能性で他の一歩先を走ることは、頂点を目指す両チームにとっては大きなアドバンテージだ。

 ともに2度の世界一経験がある両チーム。進化の先にこそ栄光があると理解しながらも、デザインやカラーなどの伝統は大切にする。
 オーストラリア代表なら、ワラビーズゴールド×グリーンのコンビネーション。南アフリカ代表のそれは、1995年に母国開催の大会を制したときのデザインと色合いが再現され、懐かしさも感じられる。
 今秋、日本のピッチを駆ける両チーム。日本企業の職人技がそれを支える。


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