ラグビーリパブリック

ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ【最終節】 ラグマガ編集部ピックアップマッチ ウェールズvs.アイルランド

2019.03.15

シックス・ネーションズはいよいよ最終節。ウェールズと(左)とアイルランド(右)の優勝を懸けた一戦は絶対に見逃せない(Photo:Getty Images)

 開幕前から「この試合が優勝決定戦になるのでは…」と予想する声が多かったこのカードだが、ウェールズが全勝で最終節を迎えると考える人は少なかったのではないか。長くキャプテンを務めたFLサム・ウォーバートンが昨夏に引退を表明し、主軸のNo.8タウルペ・ファレタウ、FBリー・ハーフペニーもケガで離脱中とあって不安要素が少なくなかったウェールズだが、アウェーの初戦で前半0-16からフランスに逆転勝ちしたことで勢いに乗り、第3節のイングランドとの全勝対決を21-13で制してポイントテーブルのトップに立った。前節は今大会の地元エディンバラでの最終戦に意気込むスコットランドの渾身のプレーに苦しんだものの、要所を押さえて18-11で勝利。昨年3月から続くテストマッチ最多連勝記録を「13」に更新した。

 現在のウェールズの充実を支えているのは、失点(58)、失トライ(6)いずれも参加6チーム中最少という堅固なディフェンス力だ。とりわけ際立っているのがラインブレイクされた後のカバーリングの反応と、自軍ゴールラインを背負った状況での粘り強さ。相手はチャンスを作りながらもトライを取り切れないシーンが続き、気がつけばウェールズのペースになっている――という展開が多い。

 アタックでは、パワフルなペネトレーターの推進力を押し出して近場をたたみかける“ウォーレンボール”と呼ばれる戦術(ウォーレン・ガットランド監督の名にちなんでつけられた)が「力任せで魅力がない」と批判の的になることもあったが、今季はそのキーマンとなる選手がケガなどで抜けこともあり、かえってWTBジョシュ・アダムスやCTBジョナサン・デーヴィス、FBリーアム・ウィリアムズらのラン能力が目立っている。基本的にはシンプルに強みを生かすオーソドックスなスタイルで、南半球勢やイングランドのような爆発力はないものの、堅守でロースコアの展開に持ち込んで接戦を競り勝つ――というのが得意のパターン。ここまでの最大点差はイタリア戦の11で、4試合平均では7.8点差と勝ち方に派手さはないが、単純にスコアだけでは測れないしぶとさとたくましさが、ウェールズの真骨頂と言えるかもしれない。

 優勝候補筆頭に挙げられていたアイルランドは開幕節でイングランドに完敗を喫したショックからよく立て直し、その後3連勝してさすがの底力を示した。前節のフランス戦では、ジョー・シュミット ヘッドコーチが「過去6年間であれほど40分間をコントロールしたチームは見たことがない」と称えるほどの内容で前半19-0とリードを奪い、最終的に26-14で勝利。2位イングランドの最終節がホームでのスコットランド戦で勝利が濃厚なだけに、仮にウェールズに勝ったとしても優勝の可能性は高くないが、半年後に開幕するラグビーワールドカップ日本大会に向け、いい形で今大会をフィニッシュしたいという思いは強いだろう。

 前節ではFWの切り込み隊長であるNo.8のCJ・スタンダーが初戦以来5週ぶりに戦列に復帰し、同じく開幕節以来の出場となったCTBギャリー・リングローズも再三キレのいい動きを披露。SOジョニー・セクストンも好判断からのランでトライを挙げるなど今大会ベストのパフォーマンスで、昨季の世界最優秀選手らしい貫禄を見せつけた。伸び盛りのジェイコブ・ストックデール、ベテランのキース・アールズと両WTBも元気一杯。相次ぐケガでなかなかチームとしてコンディションが整わない感もあったが、ここにきてようやく上り調子になってきた印象だ。

 ウェールズ、アイルランドとも堅い防御をベースにしたチームで、明らかな弱みがないだけに、試合は拮抗した展開になることが予想される。ポイントになるとすれば、ハイボールで崩しにきたところの対応と、近場のブレイクダウンの攻防か。アウェーのアイルランドは、得意のセットプレーでプレッシャーをかけ、接点で優位に立って主導権を握りたいところだろう。

 なお、過去5年の対戦成績は2勝2敗1分けで、勝者はすべてホームチーム。アイルランドがシックス・ネーションズで最後にカーディフで勝ったのは、2013年の開幕戦だ(30-22)。もしウェールズが勝利すれば、2012年大会以来のグランドスラム(全勝優勝)となる。7万人を超える大観衆が見守るプリンシパリティ・スタジアムで、最終節にどんなドラマが繰り広げられるのか。間違いなく最後まで目の離せない戦いとなるだろう。




◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

★「生中継!ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」
130年以上の歴史と伝統を誇る「シックス・ネーションズ」。ヨーロッパのラグビー強豪6カ国が参加して行なわれる大会はいよいよ最終節!3試合連続生中継でお届けする!

【最終節】
イタリアvsフランス 3/16(土)夜9:15~[WOWOWライブ]
ウェールズvsアイルランド 3/16(土)夜11:35~[WOWOWライブ]
イングランドvsスコットランド 3/16(土)深夜1:50~[WOWOWライブ]

■その他の放送予定は、WOWOWラグビーオフィシャルサイトをチェック!
http://www.wowow.co.jp/sports/rugby/

■『WOWOWラグビー公式ツイッター』(@wowow_rugby
WOWOWのラグビー公式アカウントです。WOWOWで放送するラグビーの放送スケジュール、最新ニュース等を中心につぶやいていきます。