神戸製鋼コベルコスティーラーズを15シーズンぶりのトップリーグ優勝に導き、2018-19シーズンのMVPに輝いた元ニュージーランド代表のダン・カーターが、来日前に在籍していたフランスのラシン92に“レンタル”的な形で復帰することが明らかになった。同国最高峰リーグのトップ14はレギュラーシーズンが5月25日まで、プレーオフ決勝は6月15日となっており、ラシンでの短期プレーが終わったあとは神戸に戻る。
神戸製鋼での2019-20シーズンは、6月22日~8月10日にかけて、トップリーグとトップチャレンジリーグの計24チームが参加する「トップリーグカップ2019(仮称)」が初開催されるが、国内王者を決めるトップリーグはワールドカップ日本大会終了後の2020年1月からおこなわれる予定で、ベテランのカーターにとっては時間的に余裕がある。
ラシンは、カーターと同じスタンドオフだった南アフリカ代表のパット・ランビーが度重なる脳しんとうで今年1月に引退を発表したため、代役を探していた。
ワールドラグビーの年間最優秀選手賞に輝くこと3回(元チームメイトのリッチー・マコウと並び最多)、スポーツ界のアカデミー賞とも呼ばれる「ローレウス・ワールド・スポーツ・アワード」でも2016年にカムバック大賞を受賞しているカーター。
これまで、オールブラックスの司令塔として112キャップを重ね、テストマッチ通算世界最多得点、ワールドカップ優勝をはじめとするあらゆるタイトルを獲得してきた。
クラブシーンでも、ニュージーランド国内大会(カンタベリー)、スーパーラグビー(クルセイダーズ)、トップ14(ペルピニャン、ラシン92)、そしてジャパンラグビートップリーグ(神戸製鋼)と、所属してきたすべてのチームでほとんどのトロフィーを手にしたが、欧州ナンバーワンのクラブを決めるチャンピオンズカップではまだ優勝したことがない。
ラシン加入1年目の2015-16シーズンにチームを史上初めて欧州チャンピオンズカップの決勝に導いたものの、惜しくも栄冠には届かず、神戸に来る前の2017-2018シーズンにも同大会の決勝進出に貢献したが、カーターは怪我で決勝に出られず、ラシンは初優勝を逃していた。
ラシンは今季の欧州チャンピオンズカップでもベスト8に残っており、3月31日に準々決勝で同じフランスチームのトゥールーズと対戦することになっている。
もうすぐ37歳の誕生日を迎えるカーターにとっては、唯一獲得していない欧州タイトルに再挑戦できるチャンスだ。