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【短期集中連載】 ワールドカップの前哨戦「シックス・ネーションズ」が面白い! 【第3回】ライバルを丸裸にせよ! アイルランド&スコットランドの観戦法指南

2019.01.25

(Photo: Getty Images)

「頑健」なアイルランド

 前回のシックス・ネーションズの覇者、アイルランドは、現在ワールドラグビーの世界ランキング2位につけ、昨秋はニュージーランドから16-9で歴史的ホーム初勝利を挙げるなど、ワールドカップでも優勝候補のひとつと評されるチームだ。ヘッドコーチを務めるのはニュージーランド出身の知将、ジョー・シュミットで、2013年の就任以来、確固たるストラクチャーと規律を選手たちに植えつけ、力はありながらも肝心なところでそれを発揮できず敗れることの多かったチームを見事に変貌させた。

昨年11月にはオールブラックスを破るなど、いま波に乗っているアイルランド
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 そのプレースタイルを評するなら、「頑健」のひと言に尽きる。決して派手さはないものの、誰もが自分の役割を忠実に、妥協なく80分間プレーし続ける。接点できっちり体を当て、相手を一歩でも押し込む意識の高さは世界でもトップクラス。そして簡単にミスをしない。攻守ともにガツガツとプレッシャーをかけ、我慢できなくなった相手が逃げたりミスをしたところで一気にたたみかける――というのが、得意のパターンだ。

 最大の強みは、あのオールブラックスをノートライに封じた堅牢な組織ディフェンス。個々のタックルの強さはもちろん、倒してから起き上がるスピード、スペースを埋める反応が速く、相手はなかなか攻めどころを見出せない。水も漏らさないような固い結束で、前進を厳しく阻む。

 キャプテンとしてチームを牽引するのは、36歳の闘将HOローリー・ベスト。ほかにも強力スクラムのPRタイグ・ファーロング、203cmの気鋭のLOジェームズ・ライアン、いかにもアイルランドのFWらしいタフさを誇るFLピーター・オマホニー、冷蔵庫のような肉体のNo.8 CJ・スタンダーと、FWには世界的実力者が並ぶ。  プレーメーカーとして試合を組み立てるのは、SHコナー・マレーとSOジョナサン・セクストンのHB団だ。いずれも長身で懐が深く、正確でよく伸びるパスとキックに加え、みずからランで前に出る能力も高い。BKラインで注目は、前回のシックス・ネーションズでデビューを果たし、7トライを挙げてトライ王に輝いた22歳のWTBジェイコブ・ストックデール。191cm、101kgの大型選手にして加速力とフットワーク、チャンスにからむ嗅覚を兼ね備え、傑出したトライ奪取力は相手にとって脅威となる。

昨年大会トライ王に輝いたジェイコブ・ストックデール。オールブラックス戦でもトライを決めた
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「目の上のコブ」スコットランド

 前回大会3位のスコットランドは、2014年から2017年までヘッドコーチを務めたニュージーランド人のヴァーン・コッターによって、スピーディーにボールを動かして仕掛けるモダンなラグビーを志向するチームへと進化を遂げた。そのスタイルは、コッターから任を引き継いだ元スコットランド代表SOのグレガー・タウンゼント ヘッドコーチのもとでも継承されている。

スコットランドはトライ量産中のヒュー・ジョーンズら新戦力が台頭中
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 現在のスコットランドで中心を担うのは、2015年のラグビーワールドカップで台頭した選手たちだ。驚異的な運動量で攻守に推進力をもたらすLOジョニー・グレイ、ひらめきとランニングセンスに優れた天才型SOフィン・ラッセル、2016、17年とシックス・ネーションズ最優秀選手に選出された魅惑のランナーのFBスチュアート・ホッグらは、いずれも20代中盤を迎えまさにここからピークを迎える旬のプレーヤーたち。19テストで10トライを挙げているCTBヒュー・ジョーンズ、猛烈な推進力が自慢のLO/FL/NO8サム・スキナーなど、新たにチームを勢いづける存在も出現してきている。

 そして日本のファンにもおなじみの顔が、SHグレイグ・レイドローだ。安定感抜群のパスさばき、高精度のプレースキックに加え、苦しい状況で仲間を奮い立たせるリーダーシップでも不可欠の主軸選手。日本代表にとっては2015年のラグビーワールドカップ、2016年のスコットランド来日シリーズと2年続けて苦杯をなめさせられた目の上のコブのような存在であり、対策や攻略法をイメージしておきたい。

日本でもおなじみのグレイグ・レイドローはチームの大黒柱
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アイルランドやイングランド、ウェールズ、フランスのように際立つ強みを持つチームではなく、シックス・ネーションズの中ではどちらかといえば地味なチームだが、過去8回のワールドカップでベスト8進出を逃したのは2011年大会の1度だけと、勝負どころで堅実に力を発揮できるのが長所のひとつ。また多くのサポーターが詰めかけるホームのマレーフィールドでの強さにも定評がある。今季のシックス・ネーションズのホームゲームは、イタリア戦(2/2)、アイルランド戦(2/9)、ウェールズ戦(3/9)の3試合。とりわけアイルランド戦は、ワールドカップを見すえる上で重要な一戦となる。


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※関連番組
『欧州ラグビーはここで学べ!開幕直前「シックス・ネーションズ」観戦ガイド』
【放送日】1/28(月)午後3:45ほか ※無料放送

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