スピード、パワーを兼ね備える世界最高WTBのひとり、ジュリアン・サヴェア
(Photo: Getty Images)
オールブラックス(ニュージーランド代表)のWTBとしてテストマッチ54試合に出場し46トライを挙げ、2015年ワールドカップでは1大会最多タイ記録となる8トライを決めチームの連覇に貢献したジュリアン・サヴェア(27歳)が、今季スーパーラグビー終了後に所属するハリケーンズを退団し、フランスのトゥーロンに移籍することが明らかとなった。以前から噂はあったが、6月18日に本人がツイッターなどSNSで発表し、ニュージーランドラグビー協会、ハリケーンズ、トゥーロンも公式に認めた。
ニュージーランドラグビー協会は海外を拠点とする選手をナショナルチームには選出しないため、「バス」という愛称でも親しまれる身長192センチ、体重103キロの世界屈指のフィニッシャーは、オールブラックスのキャリアを終える可能性が高い。
サモア出身の両親のもと、ウェリントンで生まれた。同地でプロの道を歩き出し、18歳のときにオールブラックス・セブンズに選出。2010年にはIRBジュニア・ワールドチャンピオンシップ(現 ワールドラグビーU20チャンピオンシップ)で最多の8トライを挙げてU20ニュージーランド代表の優勝に貢献し、国際統括団体の表彰で年間最優秀ジュニア選手賞に輝いた。
そして、2012年6月9日のアイルランド代表戦で念願のオールブラック初キャップを獲得。いきなりハットトリック達成という衝撃デビューを果たした。
ワールドカップでの8トライは、レジェンドのジョナ・ロムー(ニュージーランド)とブライアン・ハバナ(南アフリカ)に並ぶ偉業。ワールドラグビーの年間最優秀選手賞は受賞できなかったが、2014年と2015年に2回連続でノミネートされた。
オールブラックスで46トライは、チーム歴代2位タイの記録(クリスチャン・カレン、ジョー・ロコゾコと並ぶ。最多はダグ・ハウレットの49トライ)。
しかし、昨年はスランプに陥り、2017年7月8日のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦が黒衣を着てのラストゲームとなった。
ハリケーンズでは2011年のデビュー以来、120試合以上に出場してきた。今年のスーパーラグビーでは自身のトライ数こそ少ないものの、好走で何度もチャンスをつくり仲間の得点を演出している。ハリケーンズは今季16節を終えた時点で10勝3敗(勝点45)、ニュージーランド・カンファレンスで2位につけ、すでにプレーオフ進出を決めている。ジュリアン・サヴェアはフランスへ旅立つ前に、オールブラックスでもチームメイトだった弟のアーディーらとともに、ハリケーンズで2年ぶり2回目の優勝を目指す。