スクラムでもひたすら低く。167センチのFL岡山主将が体現する日本らしさでNZ討ちに挑む
(撮影:出村謙知)
間違いなく、史上初だろう。
世界で戦う日本チームが、絶対的なワールドチャンピオンとの対戦を前に「1対1で勝つ」ことを宣言したのだ。
日本時間の5月31日未明に南西フランスで開幕するワールドラグビーU20チャンピオンシップ。昨年、下部トーナメントであるワールドラグビーU20トロフィーを制して再昇格を果たしたU20日本代表は、初戦で前王者のU20ニュージーランド代表と対戦する(日本時間31日 4時キックオフ/ナルボンヌ)。
「体の大きさでは劣る部分はあるが、自分たちは1対1で勝つチーム。相手がニュージーランドの選手でも、1対1で勝つ」
試合会場および隣接する練習用ピッチでおこなわれた前日練習を終えた後、FL岡山仙治主将はしっかり前を見据えながらチーム全体で共有するワン・オン・ワンへのこだわりを代弁してくれた。
自身にとっても、初のU20チャンピオンシップでの指揮となる遠藤哲ヘッドコーチが補足する。
「同じ条件で1対1をヨーイドンでやったら、重たくて速い方が勝つ。でも、そうではなくて、どこからがヨーイドンかわからなくて、最後にヨーイドンとなる局面をつくれれば、集中力、キメの細かさとか、日本人にしかできない伝統芸が可能になる。最後の最後まで2オプションで行って、実際にボールはひとつなので最後にワン・オン・ワンにして仕留める。そこはこだわってきた」
遠藤ヘッドコーチが「自分たちが目指すラグビーの象徴」という理由で指名した身長167センチのキャプテンが体現する速さ、低さ、ディテールへのこだわり。あくまでも日本人の特性を生かしながら、1対1で勝つ状況を作り出していき、王者に対するアップセットを狙う。
「自分の役割はペネトレーターでもあるし、ディフェンスではしっかり前に出て、低いタックルで倒す。アグレッシブに前に出て1対1で勝つ。そこが自分の責任」(同主将)
日本ラグビーの新たな挑戦が始まる。
(文:出村謙知)
<ワールドラグビー U20チャンピオンシップ 2018>
■プールA: ニュージーランド、オーストラリア、ウェールズ、日本
■プールB: イングランド、スコットランド、イタリア、アルゼンチン
■プールC: 南アフリカ、フランス、アイルランド、ジョージア
<U20日本代表 (第1戦・U20ニュージーランド代表戦) 試合登録メンバー>
1.山田裕介(豊田自動織機シャトルズ) 2.新井望友(東海大) 3.石田楽人(専修大) 4.下川甲嗣(早稲田大) 5.箸本龍雅(明治大) 6.山本凱(慶應義塾大) 7.岡山仙治(主将/天理大) 8.アシペリ・モアラ(天理大) 9.藤原忍(天理大) 10.侭田洋翔(中央大) 11.根塚洸雅(法政大) 12.森勇登(明治大) 13.シオサイア・フィフィタ(天理大) 14.ハラトア・ヴァイレア(日本体育大) 15.山沢京平(明治大)
〔リザーブ〕
16.谷口祐一郎(天理大) 17.百地龍之介(立命館大) 18.津嘉山廉人(流通経済大) 19.相部開哉(慶應義塾大) 20.福井翔大(パナソニック ワイルドナイツ) 21.本堂杏虎(日本体育大) 22.猿田湧(明治大) 23.古賀由教(早稲田大)