今年の20歳以下(U20)日本代表が、いよいよ大一番に挑む本番を迎える。司令塔を担うのは、中大2年の侭田洋翔だ。
現地時間5月30日、フランス・ナルボンヌでワールドラグビーU20チャンピオンシップの初戦に先発する。U20日本代表のSOとして、強豪のU20ニュージーランド代表と対峙。1月の候補合宿で語っていた抱負をそのままに、ジャイアントキリングを狙う。
「強い相手に対しても、自分たちのやっているオリジナルアタックを成功させたい。ディフェンスでは全員のポジショニングを早くしたい」
身長175センチ、体重75キロと細身ながら、視野の広さとキック力を長所とする。
群馬・東農大二高時代は高校日本代表に名を連ね、前年は中大のルーキーながらチームのレギュラーを獲得した。
そのシーズンが本格化する前の8月には、活動が大詰めを迎えていたU20日本代表の候補合宿へ追加招集されていた。結局、9月まであった下部トーナメントのU20トロフィー(ウルグアイ)では4戦中2戦でベンチ入り。今回のU20チャンピオンシップの参戦権を勝ち取った。
今年のU20日本代表は、遠藤哲ヘッドコーチ体制下2年目を迎える。前年度からの継続強化がなされるなか、侭田は「去年は参加していい経験ができた。今年も攻め方は(概ね)一緒なので、それを皆に伝えて、自分も磨きをかけていきたいです」。1月に始動した今季の候補合宿の時点で、皆を引っ張ると宣言していた。
円陣を組めば積極的に発言し、実戦形式の練習では首尾よく味方の立ち位置をコントロールする。SOとしての職業スキルを、ひたすら磨いていた。
「素早く声をかけてあげて皆がいいプレーをできるようにするのは、ラグビーというチームスポーツのいい点でもあると思う。それを心掛けることで、いい攻撃がしたい。皆を動かすポジションなので、(声掛けを)意識しています。いい選手がたくさんいるなか、自分がやるべきことをやる。それが結果につながればと思います」
U20日本代表は5月、継続的なセレクションの末にU20チャンピオンシップの登録メンバー28名を決定。遠藤ヘッドコーチは、侭田を岡山仙治主将らリーダーシップグループの一員に据えている。いざ本番。芝を離れれば飄々とした風情の背番号10は、どんなタクトを振るだろうか。
(文:向 風見也)