ラグビーリパブリック

「人がやらないことをやらないといけない」。U20日本代表候補、根塚洸雅。

2018.04.24

根塚洸雅(中央)。写真は今年2月のTIDキャンプ時(撮影:松本かおり)

 苦労は買ってでもする。根塚洸雅は言う。
「自分がずっと思ってきたのは、人がやらないことをやらないといけない、ということ」
 タッチライン際のWTBや最後尾のFBに入る。身長173センチ、体重80キロ。決して大柄ではない体躯で、小さなスペースを大胆に駆け抜ける。さらには味方のキックした球を追いかけるチェイス、防御網から鋭く飛び出してのタックルなど、ボールを持たない時の下働きでも持ち前のスピードを活かす。
「身体は人よりも劣るのですが、人がやらないことをやってチームがうまくいくように…という考えでやっています。僕がチェイス、タックルの時のアップ(鋭い出足)で引っ張っていって、そこに皆がついてきたらよりよいチームになっていく」
 4月21日、千葉・中台運動公園。U20(20歳以下)日本代表候補として「TIDキャンプ(U20)」の2018年度第2回合宿に参加した。
 実戦練習で右WTBに入れば、逆側で相手が攻めている時から味方防御へ果敢に飛び出すよう伝える。攻めの連携を確認する際は、合間、合間にパスの方向や互いのポジショニングに関する指示を送る…。
 5月30日からフランスであるワールドラグビーU20チャンピオンシップでの大会登録枠入りを争うキャンプでは、とにかく声を出した。
「今年はチームのリーダーをやっているのですが、自分はWTBでボールを触る機会は少ない。そこで、外から(全体が)どういう景色になっているかを内側の人に伝わるように喋ろうかな…と」
 コミュニケーションの重要性を再確認したのは、3月にフィジーのスバへ行ったからだ。
 この時、根塚らU20日本代表候補はオーバーエイジ枠を加えてジュニア・ジャパンを結成。環太平洋諸国の代表予備軍とぶつかるパシフィック・チャレンジへ参戦し、2勝1敗で戦い終えた。
 体格差で上回る相手とぶつかり合って得た収穫を、ひとつひとつのコールに込める。
「ひとりひとりの考えが少しでもあいまいになってチームで同じ絵が見えなかったら、ミスが起こっていた。こういうコミュニケーションからのミスが起こっていたら、海外のチームには勝てない」
 チームが打ち出すキーワードは「QLD」だ。「Quickness(俊敏性)」「Lowness(低さ)」「Detail(細部)」の頭文字で作った造語で、U20日本代表が列強国を打ち負かすための基本方針である。自らの生き様にも似ているようなこの言葉を胸に、根塚は世界を見据える。
 
「一日、一日いい練習を重ねていく。自分たちがやりたいラグビーをして、最後は相手に勝ちたい。強いチームと当たりますが、目指すのは(プール戦)3戦全勝です」
 U20チャンピオンシップでは、プールAでニュージーランド、オーストラリア、ウェールズという強豪の同世代代表と戦う。
 大阪・東海大仰星高2年時に全国選抜大会、全国7人制大会、全国大会で3冠を達成した法大新2年は、「アタックでも、ディフェンスでも、少しでも前へ」。無駄走りをいとわず、一歩たりとも後退しない。
(文:向 風見也)
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