本人は言う。
「脂系とかは、あまり食べないです」
確かに公式で身長187センチ、体重110キロというシオサイア・フィフィタは、隆起した胸板と上腕が目立つうえ、フォルムに無駄がない印象だ。
日本航空高校石川ラグビー部を出たフィフィタは、今季、天理大のルーキーとしてアウトサイドCTBのレギュラーに定着。強烈なランとタックルをアピールしていた。その背景を日本語で明かす。
「スキルは、成長しました。特に、ランのスキルが。体重は高校の時より、5キロくらい上がっています。ウェイトトレーニングと、飯(の管理)で。脂…本当はおいしいんですけど…」
2月10日、東京・キヤノンスポーツパーク。2018年度の20歳以下(U20)日本代表候補合宿にあたる「TIDキャンプ(U20)」の2017年度第7回合宿に参加していた。6日目の14日には来日中のシドニー大(オーストラリア)と練習試合をおこなうとあって、ストイックなフィフィタは明確なミッションを掲げる。
「シドニー大に勝てるように。その次のステージであるジュニア・ジャパンに選ばれるように。…頑張りたいなと思います」
ここでのジュニア・ジャパンとは、U20日本代表に数名の上級生選手を交えた若手チーム。昨季はU20日本代表の遠藤哲ヘッドコーチがこのチームを率い、3月、フィジー・スバでのパシフィック・チャレンジに参加。環太平洋系諸国の代表予備軍とぶつかり合った。このジュニア・ジャパンへの選出は、5月に編成されるU20日本代表入りにも大きく関与しそうだ。
もっともフィフィタがその先に描くのは、より壮大な目標だ。
U20日本代表は5月30日、フランスで開幕のワールドラグビーU20チャンピオンシップへ挑む。強豪国の若手が集う大会にあって、フィフィタは活躍を誓うのだ。理由がある。
「今年のU20の大会でトッププレーヤーになって、来年のワールドカップメンバーに入りたいです」
そう。今度のステージをきっかけとして、2019年のワールドカップ日本大会での日本代表入りを目指しているのだ。現在はノンキャップで、ナショナルチームとリンクするスーパーラグビーのサンウルブズからも声はかかっていない。
もっとも両軍を率いるジェイミー・ジョセフは、U20日本代表候補やそれに似た構成のジュニア・ジャパンとも「連携を取る」と話している。さかのぼれば、昨季もジュニア・ジャパンのツアーに参加していた当時東海大3年の野口竜司は間もなく日本代表入り。ベストメンバーが組まれた6月、11月の戦いへ帯同するなど、大きくジャンプアップした。フィフィタにもチャンスは残されている。
「U20に選ばれたのは嬉しい。チャレンジャーとして、最後まで残りたい」
U20チャンピオンシップへは2季ぶり参戦となるU20日本代表にあって、「飯」に気を付ける人が虎視眈々と出世を目指す。
(文:向 風見也)