WTBで躍動するニコラス・ホフア。外国語学部に学ぶ。(撮影/松本かおり)
計画通りだった。
ニュージーランド出身のニコラス・ホフアは、留学していた北海道・札幌山の手高を卒業する際は、20歳以下(U20)日本代表へ入るのに適した大学に進みたかった。昨年4月に関西学生ラグビーAリーグの京産大へ進むと、1年生ながらレギュラーポジションを奪取。人垣を突っ切るフットワークを公式戦で何度も披露できたことで、2018年1月、U20の候補に名を連ねた。そう。計画通りだった。
遠藤哲ヘッドコーチの「もっとアピールを」というリクエストを背に、正規メンバー入りを目指している。
現地のセークレットハートカレッジ中でプレーしていたところを、札幌山の手高の佐藤幹夫監督にスカウトされた。クラブレベルでラグビーをしていた父のマニュエルさんには「母国に残ってニュージーランド代表を目指して欲しい」と反対されたが、異国へ渡ることに決めた。
現日本代表主将のリーチ マイケルら多くのニュージーランド人留学生を預かってきた札幌山の手高は雪深い街にあり、当の本人も「最初は怖かった。日本語も全然、わからなくて」。助けられたのは、1年目にホームステイ先だ。同級生で現中大ラグビー部の大沼光世の実家だったのだが、家族が英語を話せた。学校の友人に日本語を教わったホフアは、全国大会に2度出場するなど日本の高校ラグビーを楽しんだ。
他校に比べ練習量が多いと言われる京産大は、朝6時半になれば当然のようにウエートトレーニングを始める。ホフアはこの環境のもと、ライバル校とのフィジカル勝負に対抗すべくジムワークに励んできた。体重は1年間で6キロ増の「80キロくらい」になった。日々の努力を、レギュラー入りに繋げた。
身長177センチと上背こそ平均的だが、「ダミアン・マッケンジーのように」。自身とそう変わらない体格でニュージーランド代表となった23歳のスター候補のように、強靭な大男を抜き去りたい。
「(大学卒業後は)トップリーグ(のチームに)入りたいです」
2018年度のU20日本代表候補にあたる「TIDキャンプ(U20)」は2月9日からの6日間、東京・キヤノンスポーツパークで「2017年度第7回合宿」という名目で活動。正規のU20日本代表は来日4年目のホフアら今度の参加メンバー37名などから28名に絞られ、5月30日からはフランスでU20チャンピオンシップへ挑む。
本番で予選同組となったニュージーランドU20代表には、ホフアの幼馴染だったホースキンズ・ソトゥトゥが入りそうだ。友との邂逅を果たすためにも、ホフアは懸命に「アピール」し続ける。
(文/向 風見也)