オールブラックスとして47キャップを重ねた28歳のSOアーロン・クルーデンが黒衣を着るのは、今年が最後かもしれない。ニュージーランドラグビー協会は1月18日、クルーデンがフレンチクラブのモンペリエと3年契約を結んだと発表した。同協会は原則として、国外を拠点とする選手はナショナルチームに選出しないため、2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップでブラックジャージー姿のクルーデンを見られる可能性はほぼなくなった。
また、チーフスの共同主将を務めるクルーデンにとっては、スーパーラグビーでプレーするのも今年が最後になりそうだ。しかし、同大会の中断期間中(6月〜7月)に自国で開催するブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(4年に一度、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドのトップ選手を集めて結成されるチーム)とのテストマッチには出場可能で、クルーデンは“最後”のオールブラックス入りに意欲を燃やす。
クルーデンは19歳のとき精巣がんと診断されたが、摘出手術を受けて克服し、第一戦で活躍してきた。マナワツでシニアのキャリアをスタート。2009年にはU20ニュージーランド代表の主将として日本で開催されたジュニアワールドチャンピオンシップで優勝し、IRB(国際統括団体/現 ワールドラグビー)の年間最優秀ジュニア選手賞を受賞した。
そして、2010年6月のアイルランド代表戦でオールブラックスデビュー。2011年に自国で開催されたワールドカップでは、司令塔のダン・カーターが負傷離脱したため追加招集され、決勝では10番をつけ24年ぶりの優勝に貢献した。2015年はスーパーラグビーの試合で左ひざの前十字靭帯を断裂し、2大会連続のワールドカップ出場とはならなかったが、翌年に代表復帰。しかし、3つ年下のボーデン・バレットが頭角を現してベンチを温めることが多くなり、SOリマ・ソポアンガやFB/SOダミアン・マッケンジーなどの若手も育っていることも、海外移籍を考える一因になったと思われる。
近年はヨーロッパのリッチなクラブがカーターなど大物を相次いで獲得しており、フランスのメディア『Midi Libre』によれば、モンペリエは年俸80万ユーロ(約1億円)でクルーデンとの3年契約にサインしたと見られている。
オールブラックスの選手は世界中のクラブにとって魅力的であり、ほかにも、FBのベン・スミスやイズラエル・ダグなどを北半球の複数クラブが狙っているという報道もある。
いまはスーパーラグビーに集中するというクルーデン。2012年大会で得点王となり、チーフス初優勝の立役者となったこの男は、日本から合流するチームメイトのFL/NO8リーチ マイケルらとともに、4年ぶり3回目の優勝を狙う。