U20アルゼンチン代表に対してもモールでトライを取りきるなど
FW陣を中心に世界で戦える手応えを感じているU20日本代表(撮影:出村謙知)
3戦3敗。
「勝つために来ている」(FL古川聖人主将)U20日本代表にとっては、厳しい結果のプール戦となった。
初戦の南アフリカ戦は前半リードしての折り返し。15日に行われたプール最終戦のアルゼンチン戦でも、フランス、南アフリカを破って準決勝に進んだ相手からいきなり2トライを取って主導権を握るなど、世界のトップチームに対して「いい試合はできている」(CTB前田土芽)が、プール戦での勝ち星ゲットはできなかった。
この結果、プール戦終了時点でのランキングでは、日本は参加12チーム中12位。
残り2節は9〜12位決定トーナメントで来季のチャンピオンシップ残留をかけた戦いとなる。
昨年は同順位決定トーナメント初戦でサモアを破り、チャンピオンシップ残留を決めた日本。2年連続でU20日本代表を率いてワールドチャンピオンシップに臨んでいる中竹竜二ヘッドコーチは現段階で昨年のチームに比べて「ツーステップ上」の段階まできている手応えをつかんでいる。
「この3戦でこれだけ強い相手に何が通用して何が課題かがわかった。圧倒的に成長しているし、次は思い切っていける。特にFWはこの相手、南ア、フランス、アルゼンチンとの対戦ですっかり自信をつかんでいる。モールで取れるし、スクラムもしっかり前に出て組めれば押せる」
アルゼンチン戦の先制トライもそんな揺るぎない自信が生み出したものだった。相手のキックオフをしっかりキープして敵陣に入り、ペナルティキックを得る。
位置的には十分PGが狙える場所であり、時間帯から言ってもまずは3点を取りに行くのが定石とも思えたが、「FWで取る自信があった」というFW古川主将は迷わずタッチキックを選択。モールを押し込みトライラインに迫った後も慌てずにFW陣が近場を攻略し、最後はエースWTBアタアタ・モエアキオラを左サイドに走らせるかたちで3点ではなく5点を先制した。
アルゼンチン戦では後半22分にもFWがモールでトライを奪い、「敵陣にさえ入ればしっかり取りきってこれる」(中竹HC)自信がチーム全体に浸透しているのは確か。
同じ12位でも昨年のプール戦でイングランド、フランス、ウェールズとの対戦で奪ったトライが計2個だったのに対して、今年は3試合で8個のトライを記録。
プール戦3試合の総得失点差も「−155」から「−91」へと向上した。
準決勝に進んだアルゼンチンと対戦しても「全然いけると思ったし、もっとできた」(HO金子恵一)と、世界と対等に渡りあえる手応えはプール戦3試合でしっかりつかんだ。
あとはその手応えをいかに勝利という結果につなげていくか。
「相手より走って、トリプルアクションして、自分たちからアクションすれば通用するのに、そこをつなげられない。グッド、バッド、バッドになったり。そこをグッド、バッド、グッド、グッドみたいにいいプレーをつなげられるようにしていく。気持ちの部分でマインドセットするのも大事だし、みんなが楽しんでやるというのも大切」(古川主将)
大会4戦目、9〜12位決定トーナメント初戦の相手はプール戦第2戦で14−46で敗れたフランスとなる。
(文:出村謙知)