「高校時代を過ごし、お世話になった方々も多い栃木に戻ってきたので、恩返しできるように頑張りたい」
栃木ホンダヒート(以下、栃木H)の渡邉弐貴は、チームが本拠地を移して迎える2026-27シーズンに強い思いを抱いている。高校時代を過ごした栃木は、ラグビー選手としての土台を築いた場所だからだ。
6歳でラグビーを始め、水泳やソフトテニスも経験した。「激しいコンタクトのあるラグビーが本当に魅力的でした。自分のポテンシャルを生かせるのはラグビーしかない」。そう感じて競技に専念し、國學院大学栃木高等学校へ進学した。
高校の同期には、川越狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)の石井雄大がいる。今回、石井はメンバー入りしていなかったが、「雄大とは高校だけでなく大学(明治大学)も一緒。社会人に入ってからは別になりましたが、働きながらラグビーを頑張っていることを聞くと、自分ももっと努力しなければいけないと刺激になっています」と話す。
高校では全国大会に出場し、明治大学ではけがに苦しむ時期もあったが、U20日本代表に選出。4年時には大学日本一を経験した。その後、三重ホンダヒート(当時)に加入し、持ち味のタックルを生かしたディフェンスと粘り強い突破で成長してきた。しかし、ここ2シーズンは出場機会が減少。だからこそ、なじみのある栃木の地で巻き返しを図りたい。
「いまは、チームに必要とされる選手になることが最優先。僕のポジションには、体も大きく動きもいい外国籍選手がそろっている中で、試合に出られるようにもっとタックルの技術を磨いていきたいです」
10月31日のリーグワンライジング、狭山RG戦ではセンターで先発した。試合は27対33で敗戦。渡邉自身も、ディフェンスで後手に回ったことを課題に挙げた。
「今日は個人的にもチームとしても、受けに回ってしまい、相手に優位な場面を多く与えてしまった。コミュニケーション一つで防げるミスも多かったので、開幕までにはしっかりと改善していきたいです。個人としては、大きい相手に対しても、低いタックルで勢いを止められるように技術を磨いていきたい」
バックスを担当する髙忠伸アシスタントコーチも渡邉の能力を認める一方、「いまのままではダメ」と厳しい言葉を送る。ディフェンスリーダーとして周囲を動かし、プレーの精度を安定させることが求められている。
この日の相手には、大学の同期だった忽那鐘太もいた。渡邉が前半で退き、忽那は後半から出場したため、直接のマッチアップは実現しなかった。「味方にいると本当に頼りがいのある選手。1年ぶりに彼のプレーを見ましたが、敵にいると本当にイヤな選手だと感じました。僕もそう思われるようになりたいですね」。
「栃木に縁のある自分が活躍することで、チームも盛り上がり、新しいファンも増えると思う」。恩返しのためにも、まずは自らの強みを磨き、チームに欠かせない存在になること。12月の開幕に向け、渡邉が目指す姿は明確だ。
(松野友克)
▼周辺の証言
髙忠伸アシスタントコーチ
「自分がどういう選手になりたいのか、どういうプレーを続けていかなければいけないのかを、明確にしてほしい。そこが調子の波の大きさに影響していると感じます。調子がいいと本当にいい動きをしてくれるので。リーグワンライジングでも2試合に出場しましたが、まだ自身のポテンシャルを最大限に発揮できていない。ほかの選手に比べて体が小さく大変なことは分かりますが、それを言い訳にせず努力を続けてもらいたいですね。それだけの能力は持っているので」
