12月のリーグワン開幕に向けて、金井大雪が復活の狼煙を上げた。
10月17日、印西市松山下公園陸上競技場で行われたリーグワンライジングのクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)戦。JR東日本グリーンウォリアーズ東葛(以下、GW東葛)の金井はスタンドオフとして先発出場し、1トライと6本のコンバージョンゴールを決め、78対5の勝利に貢献した。得点だけではない。10番としてアタックを組み立て、ゲームをコントロールする役割も存分に果たした。
金井が最後にリーグワンの公式戦に出場したのは、2025年1月18日、2024-25シーズンのディビジョン2第4節・豊田自動織機シャトルズ愛知戦。この試合で右膝の前十字靱帯を断裂し、2月に手術を受けた。金井にとって初めて経験する大けがだった。
「けがをしてしまったものは仕方ないので、できるだけ前向きにいようと思ってリハビリに取り組んでいました」
戦列復帰までに要した期間は約1年。長くグラウンドから遠ざかっていただけに、試合勘やコンディションがすぐに戻るわけではない。プレーできる状態には戻ったものの、昨季は一度も出場機会を得られなかった。
それでも気持ちを切らさずに練習を重ね、徐々に本来の感覚を取り戻してきた。
「キックも気にせずできていますし、コンタクトのところもまったく問題なくできているので、やっと本調子に戻ってきたかなという感じです」
その言葉を裏付けるように、WG昭島戦では出色のパフォーマンスを披露した。前半40分に自ら奪ったトライと6本のコンバージョンゴールもさることながら、圧巻だったのは前半24分。相手陣22mライン中央付近から右サイドへ大きく展開した飛ばしのパスだ。状況判断、視野の広さ、ハンドリング、そしてパスの精度。すべてがかみ合って生まれたプレーだった。チームの2トライ目を演出したこのパスに、金井の真骨頂が凝縮されていた。
「10番として、自分自身でリードして、良いアタックを作っていくのが僕の仕事だと思うので、そこでしっかりチームに貢献するところ。その中で、リーダーシップを発揮していけたらいいのかなと思います」
グレッグ・クーパー ヘッドコーチも金井のゲームコントロールを高く評価する。指揮官がスタンドオフに求めるのは、周囲の選手を生かしながらゲームを動かすこと。金井はその役割を果たし、開幕に向けて確かな手ごたえを示した。
今季、チームはNECからJR東日本へと運営母体が変わった。さらに、瀧澤直が引退し、ニック・フィップスは退団。経験豊富なリーダーたちが昨季限りでピッチを去ったことで、金井にはプレーだけでなく、チームを引っ張る役割も求められる。
「プレー以外の面や、チームを引っ張り上げる役割も自分はあると思っているので、チーム全体として底上げできるようにしっかりやっていきたいと思います」
長いリハビリと公式戦に出られなかった時間を経て、取り戻しつつある本来のプレー。しかし、リーグワンライジングでの活躍はゴールではない。目指すのは、約2年ぶりとなるリーグワン公式戦への復帰。そして、新体制のGW東葛を10番としてけん引することだ。
(鈴木潤)
▼周辺の証言
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ
「先週の試合で得られた学び……、具体的には、アタックのシェイプを維持すること、そしてゲームのスピードをさらに上げることを二つのテーマとして取り組んできました。その点については成果が得られたと思います。また、今回の試合を通じて、自分たちのゲームについて、さらに理解を深めることもできました。スタンドオフのポジションで最も重要なのは、ゲームをコントロールし、マネジメントすることです。金井は非常にうまくゲームをコントロールしていたと思います。私が10番に最も求めているのは、ゲームを動かしていくことです。彼の周囲には能力の高い選手がたくさんいます。その中で、彼自身はゲームを動かし、チームをコントロールしてくれたと思います」
