「この舞台は自分にとって本当に大きなもの」
九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)の深田晋平にとって、リーグワンライジングは特別な舞台だ。
ルーキーイヤーだった2024-25シーズンは、一度もメンバー入りを果たせないまま終わった。日々の練習からリーグワンのレベルの高さを感じながらも、試合に出られなければ自分の“現在地”を推し量ることができない。そんな折、リーグワンライジングが2025年から始まった。そこで実戦の機会をつかんだ深田は、今村友基ヘッドコーチから「ベストライジングプレーヤー」に選ばれ、そのパフォーマンスを評価された。
「昨年のリーグワンライジングで自分のパフォーマンスを評価してもらい、それが公式戦の出場にもつながったと思います」
そう振り返るように、深田はリーグワンライジングでの経験を生かし、2025-26シーズンには初キャップを含むリーグ戦3試合に出場した。もちろん、そこに至るまでには苦しい時間も過ごしてきた。
「常に前向きなタイプですが、1試合も出られない期間は、自分がこれまでやってきたことやラグビーの経験値が足りない、一つひとつのレベルが周りとは違うと痛感させられました。僕は強豪校出身ではないというところもあって、試合に出られない悔しさをあまり味わってきませんでした。ただ、試合に出られない悔しさを僕は乗り越えたい。この状況をどうやったら乗り越えられるのか。自分はどこまで課題に挑戦できるのか。そういったところではラグビーを楽しめていると思います」
リーグワンの舞台に足を踏み入れると、幾重にも壁がそびえ立っていた。しかし、それを乗り越えたときのことを想像すると、自然とラグビーに打ち込めた。そこで得られたものを試合で表現すると、新しい景色が目の前に広がった。壁の向こうには、まだ知らない景色が待っている。その冒険心が、ラグビーに打ち込むための原動力となった。壁を乗り越える楽しさを知った深田の成長への思いは増すばかりだ。
「個人的には『常に自分を乗り越えていく』という目標があります。昨日よりも良い自分を作る。今日よりも明日はもっと良くする。常に課題をもってより良い自分を目指していけば、活躍できる舞台があるのかなと思っています」
昨季はリーグ戦3試合に出場したが、いずれもチームは敗れており、深田はまだ公式戦で勝利の味を知らない。
「ピッチ上で勝ちたいと思っています。出場した3試合は途中出場でしたが、自分がピッチに立ったときにチームの流れを変えることができなかった悔しさがありました。流れを変えるプレー、声掛けが足りなかったので、自分からエナジーアップしてチームにエナジーを与えられる選手になりたい」
福岡で生まれ育ち、福岡でラグビーに打ち込んできた深田は、「九州からでもリーグワンで活躍できるんだぞというところを見せていきたい」という反骨心を胸に抱いている。
どこまで高みへと昇ることができるのか。昨日の自分を乗り越え、その先にある新たな景色へ。チームとともに、深田は最高の景色を目指して歩み続ける。
(杉山文宣)
▼周辺の証言
今村友基ヘッドコーチ
「彼の良さは体が強いのでけがをしないこと。けがをしないのでずっとグラウンドに立てるぶん、しっかりとそこでラグビーに取り組むことで成長したと思います。ボールを持ったときのボディーバランスやキックパスについては、10番もできる選手なので、周りを使うプレーというのもすごく成長しています。アタックはチームのやろうとしていることを体現できていますが、センターとしてディフェンスをリードしていけるようにレベルアップすることが必要かなと思います」
