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ワイルドナイツ・福井翔大。再三の怪我を乗り越え、挑むハイブリッド。

2026.10.04

福井翔大[埼玉WK](筆者撮影)

 求めていた日常を掴んだ。プロラグビー選手の福井翔大は、「やっと、連続で試合に出られるようになった感、です」。今夏以降、埼玉パナソニックワイルドナイツのプレシーズンマッチを3つ消化したのを喜ぶ。

「とりあえずラグビーができています。いまのところ」

 東福岡高から大学を経ずに2018年に入部し、若くして頭角を現してきた。しかし2024年の初夏、参加していた日本代表合宿で右膝の前十字靭帯と半月板を故障してしまう。その後は手術をして復帰も、半月板の再受傷を繰り返した。

 25年春までのシーズン後には留学先のニュージーランドで痛め、オペが必要となった。同年12月からの25年度シーズンに間に合うようカムバックできたものの、まもなく戦線離脱を余儀なくされた。

 再発の要因を研究した。信頼する佐藤義人スペシャルトレーナーらメディカル陣は、膝窩筋に着目した。膝の曲げるのに使われるこの筋肉がうまく機能していないため、本来筋肉にカバーされているはずの骨や筋に負担がかかりやすかったのだと分析したようだ。

 当事者にも、思い当たる節があった。

 街中でまたごうとしたガードレールへ、さほど上がらなかった足が引っ掛かることがあった。あれもある種のサインだったのだ。
 
 今年6月まであった昨季の国内リーグワンでは、一切プレーできなかった。12月の新シーズンで復活すべく、膝窩筋を鍛え直した。佐藤に持ってもらうゴムチューブに足を引っかけ、ひたすら膝を曲げ伸ばしする。地道に、着実にトラブルのリスクを減らそうとした。やがてフィールドに戻れた。

 佐藤とともに復活への道のりに携わった吉浦ケインS&Cコーチは、真夏の段階で福井の復調を直感した。カムバックすればよいパフォーマンスが出せるだろうとメディアに話し、それを伝え聞いた当の本人は「それは、嬉しいですね」と微笑む。

「ケインも、僕のためのメニューを作ってくれた。本当に支えてもらってここに立っている感じがします。僕ができる恩返しは、ラグビーをすることです」

 話をしたのは10月3日。埼玉県内のグラウンドで、東京サントリーサンゴリアスとの練習試合にFLで先発した。強みを披露した。約50分のプレータイムで密集近辺での鋭い突破、一瞬のうちにタックルを繰り返す運動量…。身長186センチ、体重101キロのサイズにして勤勉かつシャープに駆動できるのが真骨頂だ。

 38-46で敗れ、向こうのNO8のテビタ・タタフの突進を仕留めきれなかったシーンを悔やむも、よい兆しを掴みつつあると頷いた。

「ここ2年は膝の状態が何か変だなと思いながらプレーしていて。自分のしたいプレーがあっても膝のことがあったから…と。ラグビーがうまくいかない不安よりも、自分のやりたいことができない辛さがあったんです。いまはそういうのが、なくなってきました。本当に、光が差している、ではないですけど」

 ちなみにこの日は、ゲーム主将を託された。いまの季節におけるコアメンバーのひとりだからだ。チャレンジは他にも課される。密集戦で働くFLなどのFW第3列を本職としたうえで、端側のWTBにも挑む。

 最近のラグビー界にあって、役目の異なる複数の位置を担うハイブリッドプレーヤーの育成がトレンドとなりつつある。いまの日本代表では身長192センチ、体重106キロで足の速いティエナン・コストリーがその立場で注目される。

 ワイルドナイツの金澤篤ヘッドコーチは、コストリーと同様にサイズと身体能力に長け、適応力の高いタレントがハイブリッドに適性があると看破。今季からリーグの外国人起用枠に変更が加わるのも鑑み、福井に白羽の矢を立てた。9月19日の川越狭山セコムラガッツ戦(〇59-7)では、WTBのスタメンで起用している。

「ユーティリティな選手は作っていかないといけない。本人にそれができる能力がある、というのは前提ですが。両方のことを学ばないといけないのでスマートさも求められますが、頑張ってやってもらっている最中です。フィジカルも、スピードもあるので、両方をうまくできればよいかなと」

 福井自身は、ボールを持たない時に多く動くWTBの特徴に四苦八苦しているとのこと。ちなみにWTBの経験は、かつて選ばれた20歳以下日本代表で当該ポジションにけが人が続出したときのみに限られる。

 新たな職場での仕事を「むっちゃきついです」と明かしながら、その「きつい」と話す声色が前向きだった。

「まだ(慣れている最中のため)楽しめるレベルではないです。使う肺の感じが違う。まだ無意識にできることがなく、ずっと考えて動かないといけないことも、きついです!」

 来年にはワールドカップがオーストラリアである。27歳の福井はフランス大会に続き2回連続での出場を目指しているが、そのためにもまずは目の前のことに集中したいという。

「試合に出て、相手チームに勝つ。その積み重ねだと思います。先は、見ないです。自分にフォーカスしてやっていったら、いずれいい方向に行く。僕は、自分のことを信じているので」

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