ラグビーリパブリック

いち早く「何がだめか」を把握したい。日本代表・竹内柊平のカナダ代表戦。

2026.09.06

PR(3)竹内柊平(撮影:福島宏治)

 切磋琢磨してきた。

 ラグビー日本代表の竹内柊平が話したのは9月5日。新潟・デンカビッグスワンスタジアムでのカナダ代表戦に最前列の右PRとして先発していた。

 48分間、プレーし、57-12で勝った。奪った9トライのうち3本を生んだモール(立ったボール保持者が軸の塊)について聞かれ、ここ数か月の鍛錬について話した。

 さかのぼって7月18日、東京・国立競技場でフランス代表に15-42で屈した。欧州上位国の一角である相手を前に、モールの防御で苦しんだ。8月8、15日の対オーストラリア代表2連戦までの練習でその課題を克服するさなか、入れ替わり立ち代わり相手役に回った選手は攻撃側のモールについて勘所を掴んだようだ。

 そのプロセスを、身長183センチ、体重120キロで29キャップの28歳が解説した。愛好家におなじみの明朗な語り口で。

「(自分を)練習台だと思っている人なんて、ひとりもいない。皆がいいやり合いをして、皆でいいモールのアタック、ディフェンスができている。やりながら、色んな奴と『こうしたほうが、押せるんじゃね?』と話して肉付けていく…と」

 満足するだけではない。件のオーストラリア代表とのシリーズは、東大阪市花園ラグビー場で32-35、タウンズビル・クイーンズランドカントリーバンクスタジアムで17-56と2連敗を喫した。南半球の雄を倒せなかった。

 さらに勝利できたこの午後は、エラーや被ターンオーバーがかさんだ。世界ランクで12つ下回る北米の一角を様々な領域で圧倒しながら、後半2分以降の16分間、同19分以降の約18分間は無得点に終わった。

 新潟での80分間について、竹内は正直に言う。

「見ている側も、やっている側も、自分たちのスタンダードではないとわかったと思います」

 エディー・ジョーンズヘッドコーチは、先を見越して練習量を増やしていた。そのため個々の状態不良を想定内だとする。しかし、そのジョーンズに重用されてきた竹内は、自らにベクトルを向ける。

「こうした(消化不良の)時に求められるのは、修正力です。きょうは敵陣22メートルエリアに入ってからの決定的な場面でうまくいかなかった。それを終わってから振り返るのではなく、ゲームのなかで振り返らないと。(その場で)何がだめだったのか(の確認)をもっとやっていけば、僕らはもっと強くなる。カナダ代表はランキングこそ下ですが、フィジカルは強く、アタック、ディフェンスともにインディビジュアル(個々)でやってくる。それに対して、僕らがインディビジュアル(力勝負)同士でやろうとすると、ギャップ(隙間)を割られてしまう。僕たちがやることは、まとまって組織的にアタック、ディフェンスをすることです」

 この日は「デモリッション(破壊)」をテーマに掲げ、モールをはじめとした衝突局面での激しさ、勢いを重視。そもそもぶつかり合いは、勝負の根幹を支えるエリアでもある。

 もっとも、生来の日本代表の強みは細やかさと勤勉さである。仲間で群れをなし、かつハードに戦うべきだと竹内は言いたげだ。

 今回は、常に理想通りに戦う難しさを感じたようでもある。

「簡単じゃないですね。僕はこの(現体制発足後の)3年間で(束になって挑むイメージが)できてきていると実感していましたが、きょうは、マジで、できていなかったです。アグレッシブさというテーマがあって、選手たちがそれを体現するのはわかります。ただ、そんななかでもFW陣で『これをやりきろうね』と短く(適宜、共有したい)。そうしたマイクロコミュニケーションが、上位8か国に比べて少ないとわかりました。『たまたま勝てた試合』でそれを学べたのが収穫でした」

 12日からは、2季連続準優勝のパシフィック・ネーションズカップに挑む。花園でのアメリカ代表戦が皮切りだ。向こう1、2週間での進歩を証明する場が、丁寧に用意されている。

 一時期スキンヘッドにしていた通称「TK」。最近は徐々に頭髪が伸びた。先頭で組むスクラムの練習中にさいなまれた、内出血のリスクは減りそうではないか。とはいえ、このほど反省点を述べる顔にはいくつも切り傷を作っていた。ひたすら身を粉にする。

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