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連覇逃して「スタンダード」を見直し、目指すは「タフ」。帝京大4年・上田倭士の誓い。

2026.08.25

上田倭士[帝京大/CTB](筆者撮影)

 ただうずうずしていただけではなかった。

 帝京大ラグビー部の4年でBKリーダーの上田倭士は、新チーム始動時はフィールドに立てなかった。3年生で負った怪我の治療に専念していた。かすかに関西弁を交えて後述する。

「なかなか試合に出られへん時間が続いて、1日でも早くグラウンドに戻りたい気持ちがありました。ただ、長期離脱が初めての経験で、違う角度でラグビーと向き合えた。グラウンドの中と、外とでは、感じることが違うとわかりました。それは、プラスになったのかなと」

 オン・ザ・ピッチで気付きづらかった、視界の外にいる仲間の動きを俯瞰できたのがよかった。夏の実戦復帰までに増えた引き出しを、こう掘り下げる。

「グラウンドの外から広い視野で仲間のプレーを観察してきたからこそ、(カムバック後に)『こいつは多分、こういう動きをしているやろうな』と(予測して)臨機応変にできる部分が増えたと感じています」

 身長179センチ、体重89キロ。身体衝突の多いCTBの位置にあって、特に防御で際立つ。思い切りのよい飛び出し、味方が抜かれた際のカバーリングが光る。

 攻めでも目立ったのは8月25日。合宿中の長野・菅平高原のサニアパークで、昨季大学日本一の明大との練習試合に先発した。

 ハーフタイム直前に敵陣ゴール前でチャンスを得ると、防御ラインの死角でパスをもらうや突破。最後尾のFB、本橋尭也副将のトライをおぜん立てした。かねて「自分の役割が何かを明確にし、少しでもトライにつながるように前に出たり、仲間にいいボールを渡したりできるように」と考えてきたおかげだ。前半は7-12とビハインドを負ったが、最後は42-19で勝った。

 最近では2学年下の弟で、同じ大阪桐蔭高出身の上田倭楓が司令塔のSOになることが多い。この日も然りだった。兄は、あくまで勝利を求められる組織の一員として「弟やからどう、とは思っていなくて。帝京大の10番(SO)に対して、振る舞う。帝京大の10番にはチームを勝たせる責任がある。それに対してどう声を出して(サポート)できるかを意識します」。見据えているのは、4連覇した一昨季以来となる14度目の大学選手権制覇だ。

「優勝と、優勝していないことを、両方とも経験したメンバーが、ここにはいる。どういうスタンダードでやらないといけないかについては、4年生は何回もミーティングを重ねて理解しています。それを1~3年生に伝えて引っ張り上げられるか…です」

 ここでの「スタンダード」とは、個々のマインドセットを指していよう。広大なトレーニングジム、医療技術学部と連携しての健康管理、猛練習を貴ぶ文化を誇るクラブにあって、ひとりひとりがより能動的に努力できるのかを求める。

 その一環か。「ヒルズ」と呼ばれる東京郊外のジム兼クラブハウスの1階の壁には、いま、各部員の目標の書かれた紙がずらりと並んでいる。

「去年までしていなかったことです。人の見えるところに(ミッションを)貼るこことで責任感が生まれる」と話す上田は、その用紙へ簡潔に添えた。

「タフ」

 その心は。

「怪我をしていたのでそれを体現できなかったのですが…。これから先は、タフにプレーし続けようと思っています」

 今年、過去に年代別代表で一緒になった同い年の選手が相次ぎ代表入り。特に明大SOの伊藤龍之介は、上位国との5試合で先発した。近しい選手が国際舞台に立つなか、上田は自分を見つめ直す。

「すごいな、と思う一方、いつか自分もあそこでプレーしたいという気持ちがある。ただ、(自身が)そのレベルに行っているとは思えない。強みも伸ばさないといけないし、弱い部分も逃げずに鍛えないといけない。コンタクト(衝突)の部分で、もっとアグレッシブにやらないといけないです。(卒業後に進む)リーグワンでは全選手、身体が強いと思うので、そこで通用しようと思ったら身体を大きくしないと。かつ、自分の強みを出していきたいです」
 
 己に誓う。「タフ」になる。

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