前半途中に出場し、後半途中に退いた。インパクトは絶大だった。
筑波大ラグビー部3年の茨木海斗は8月23日、合宿先の長野・菅平高原で東洋大との練習試合に出た。最前列の右PRに入り、スクラムを組むたびに猛プッシュ。54-21で勝った後、口をつくのは感謝の言葉だった。
「本当にいろんな方にサポートしてもらって、ここまで来られました」
東福岡高出身で身長183センチ、体重118キロのムードメーカーは、長らく腰のヘルニアに悩まされていた。昨季終了後、戦線離脱。新チーム始動後にいったんフィールドに戻ったものの、今度は足を痛めた。
紆余曲折を経て、今回、約8か月ぶりの実戦復帰を果たせたのだ。
雌伏期間は方々を回った。特に腰の回復に努めた。
東京サントリーサンゴリアス所属の現役日本代表なうえに筑波大のスポットコーチも務める竹内柊平から、トレーナーを紹介してもらった。腹圧をかけて姿勢を改善し、腰に負担がかかりにくくなった。「スクラムの姿勢が本当に変わりました」と、副産物も得た。
他にも外部でケアを受けられた。だから今度のカムバックを経て、謝辞を述べたのだ。その流れで嬉々として語る。
「いまは割と、症状が治まっています。(最後に)怪我をする前よりも身体の調子がいいのかな、というくらいです」
体調が万全なら、学生屈指のスクラメイジャーなのは確かだ。試合後は複数のリーグワン関係者に接触を求められ、訪れていたトップクラブの指揮官に褒められる。
高まる人気を指摘され、謙遜した。
感触のよかったスクラムについても、自身の手柄を誇るだけではない。先頭に並んだ左PRの北田勇翔、HOの浜浦幸太郎を称える。
「皆が強いです。成長しています。北田、浜浦がえぐいです。今回、菅平で久しぶりに組んだんですけど、去年の1、2番(左PR、HO)よりも強いんじゃないかというくらいになっていて、びっくりしました」
いまは秋からの関東大学対抗戦A、さらには大学選手権をにらむ。プレータイムの増加も待たれる。
寮を持たない国立大学にあって、クラブ史上初の日本一に迫る。かつ、自分だけの目標を公言する。
「大学ナンバーワンタイトヘッド(右PR)になります」
得意のスクラムのほか、フィールドプレーと呼ばれる突進、タックル、サポートなど動き回るなかでの仕事でも光りたい。
