ラグビー界では有名な谷山きょうだいの次女だ。姉にYOKOHAMA TKMの美典、兄に埼玉ワイルドナイツの隼大を持ち、同じ日体大に入学した妹の雅はこの春から母ともに上京、三人で暮らし始めた。
「福岡にいた時はケンカも多かったけど、離れてからありがたみを感じて…。いまは仲良しです!」
サクラセブンズの谷山三菜子が、玄海ジュニアラグビークラブに通い始めたのは小学1年時だ。先に始めたのはゴルフで、88のベストスコアを持つ。九州大会にも出場した。
「平日の夜は打ちっぱなしに行って、土日はラグビーの練習の後にお父さんとコースを回っていました」
ラグビーはあくまでゴルフでの足腰を鍛えるためだったが、「いつの間にか逆転した」と笑う。
「走り回ったり、チームで動く方が楽しかった」
中学からはラグビーを軸に動いた。陸上の走り高跳びで県大会を制するなど高い身体能力を他競技でも発揮する中、ラグビーでは中学2年時に同級生でただ一人、セブンズユースアカデミー生に抜擢された。
「もし選ばれたら合宿に参加するので、親にスマホを買ってあげると言われていて。きょうだいは高校生になるまで買ってもらえないルールだったこともあって、早くメンバーに入りたいと思っていました(笑)」
以降も順風満帆なキャリアを歩んだ。佐賀工では1年時からチャレンジチームに選出され、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに身を置く。2年時からは2年連続でU18女子SDSに選ばれた。
日体大1年時の秋にはサクラセブンズデビュー、「HSBC SVNS」のバンクーバー大会では初の準決勝進出に貢献した。
「コツコツやれるタイプ」と自負する。高校時代は目標を書いた紙を部屋に貼り、男子と同じメニューに「毎日筋肉痛になりながら」食らいついた。
国内トップクラスのキック力も、ここで身につけた。同級生の服部亮太(現早大)から助言をもらうこともあったが、セブンズで使うドロップキックは自分と向き合いながら作り上げたという。
「自分の時間を作って、今日はこれをして、明日はこれをしようと考えながら自主練を続けることは嫌いではないです。達成できたときは嬉しいですから」
今年は時間を見つけては一人で走り込み、OGの堤ほの花に助言を求めながらタックルの入り方を磨いた。競技人生では初めてと言っていいほどの挫折を経験したからだ。今季は代表の当落線上に立たされていた。
「かなり苦しいシーズンでした。でもその分、サクラセブンズへの思いが強くなったし、この一員で戦えることを誇りに思えました。もっと努力しないといけないと」
谷山がカバーするSHには現役最多キャッパーの平野優芽、本職のSOにはキャプテンの須田倫代が今季から復帰。出番は限られた。「経験や強みでは勝てない」と感じることもあったが、いまは割り切ってその挑戦を受け入れている。
「勝てることは少ないかもしれないけど、考えていても仕方ない。もがいて、食らいついて、自分のプレーを恐れずにやっていくしかないなと。自分の弱さに気づけたのがオリンピック直前でなくてよかったです」
小学校の卒業文集には、「将来の夢はオリンピックに出ること」と書いた。その思いが、もっと強くなった。
(文/明石尚之)
※ラグビーマガジン9月号(7月24日発売)の「セブンズ女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は7月15日時点。
