ラグビーリパブリック

早大ラグビー部優勝へ「理不尽」のすすめ? 清水健伸、主将の心得。

2026.08.19

清水健伸[早大/主将・HO](撮影:長尾亜紀)

 日々の取り組みがストイックに映ると、周りに称えられる。

 かつ、発する一言、一言に思慮深さがにじむ。

 清水健伸。今季の早大ラグビー部で主将を務める。その心得を聞かれ、あえて「理不尽」というフレーズを用いる。

 帝京大、明大といった主要なライバルと比べスポーツ推薦枠が限られる早大は、一部の著名選手に無名高出身者、内部進学者をシンクロさせ国内最多となる16度の大学日本一を達成。そのクラブの文化に即し、強調するのだ。

「早稲田らしさ、プライド…。昭和チック、じゃないですけど、そういったものがこの現代においてもっとも必要かなと。こういう、理不尽な競技をやるうえでは…」

 身体衝突があり、1試合の置ける走行距離も少なくないラグビーを「理不尽な競技」と見立てる。何より、自分たちのチームは各部員の入学前のタレント性、身体のサイズとは違うエリアで勝負しなくてはならないと実感する。

 だからこそ、自分たちには「理不尽」に抗う力が必須なのだと説く。

「どれだけ泥臭くできるか、どれだけ仲間に対して要求できるかが、すごく大事だなって。常々、勝負にはこだわる。練習の中で『勝負しようぜ!そこで負けたら絶対負けるぞ!』とか」

 ポジションはHO。先頭中央で組むスクラムが判定に左右されたと感じたあるゲームの直後、やはり「理不尽」というフレーズを用いて笑った。

「スクラムなんて、理不尽なので、ああいうこともあります。自分たちのコントロールが効くところと効かないところを見極め、効くところでどんどん勝負して、自分たちのものにしていけたらいいなと」

 身長178センチ、体重103キロ。鋭いタックルや突進と相まって学生シーン屈指の存在だ。3年生だった昨春には、23歳以下日本代表の主将としてオーストラリア遠征に参加した。

 ヘッドコーチは、日本代表も率いるエディー・ジョーンズヘッドコーチだった。トレーニングの質が悪いとみれば容赦なく打ち切り、再開するかどうかの選手間での話し合いはリーダーに委ねた。首脳陣とメンバーの仲介役を担ったのが、船頭役の清水だった。

「エディーさんが練習を止めて、『何で(全力で)やらないんだ!』と。そこは、リーダーが先に気づいて変えさせる(べき)というのが、エディーさんから学んだことです。それがリーダーの責任だと感じました」

 当時、ジョーンズはメディアを通し、清水に賛辞を送った。2027年のワールドカップオーストラリア大会で、日本代表の主将となるだけのポテンシャルがあると述べたのだ。その評価がいまなお変わらないのは周辺の証言からも明らかだが、今年の代表活動に清水は加わっていない。当の本人は「その話(召集依頼)もまったくなく。自分の実力が見合っていない」と立場を理解する。

 従来通りに「リーダーシップを持った、セットプレー、フィールドに安定感があって、何事も任せられる選手」を目指しながら、まずは学生ラストイヤーを実りのあるものにする。

Exit mobile version