新しい代表選手が生まれる。
7月18日、東京・国立競技場でネーションズチャンピオンシップ第3戦に臨むラグビー日本代表は、世界ランクで7つ上回る4位のフランス代表とのその一戦に3名の代表戦未経験者を並べる。
FLの6番に入ったのはエセイ・ハアンガナ。身長198センチ、体重120キロの27歳だ。初参加となった大会前の事前合宿で、高ぶる気持ちをこう言葉にしていた。
「ここはワールドクラスの環境で多くを得られます。この場所にいられて光栄です。軽々しく受け入れてはおらず、責任感を覚えています。日々、練習でどれだけ向上できるかを意識しています」
出身のオーストラリアでは国際リーグのスーパーラグビーに18歳でデビューし、昨季までの6シーズンは国内の名門である埼玉パナソニックワイルドナイツで進歩。本来は’25年度開始前までに日本代表資格を掴んでいたが、選出は今回のキャンペーンまで持ち越しとなった。
当然ながら代表入りには、ライセンスの獲得と同時に、セレクションの通過が求められる。そのプロセスについて、当の本人が明かす。
「ずっと国際舞台で戦いたいと思っていて、この数年で、日本代表でプレーできるかもしれないと知りました。去年はもしかしたら、自分はそこまでの準備ができていなかったのかもしれません」
水面下では、代表でコーチングコーディネーターを務めるニール・ハットリーからフィードバックをもらっていた。日本代表でプレーするのに意識すべき伸びしろを伝えられ、それを念頭に置いて鍛錬してきた。
「国際舞台ではより頑丈で、フィジカリティでなくてはならないと言われました。またこの数年間、フィットネス(持久力)のギャップも埋めました。そうなれば、自分のラグビーのスタイルは(高いレベルでも)自然とできる」
今回、6月上旬の正式発表に先立ち、エディー・ジョーンズヘッドコーチから電話がかかってきた。「内定」の通告だ。
「適応できるように」
「準備万端で行きます」
このやり取りを経てタフな宮崎キャンプに乗り込み、6月27日のJAPAN XV名義での対マオリ・オールブラックス戦では本職のLOでフル出場(愛知・パロマ瑞穂スタジアム/●31-38)。その後開幕の大会ではここまで出番がなかったが、1勝1敗で迎えた前半戦最後の3試合目でスターターのチャンスが巡ってきた。
「(今年のチームテーマである)『ともに超速』は自分にフィットしています。プレー・オン・トップで、勢いをつけたい」
ハアンガナが主戦場とするLOにはワーナー・ディアンズ、ハリー・ホッキングスという2メートル超のコンビが入り、もともと6番だったハードタックラーのベン・ガンターが同じFLの7番へ回る。
ハアンガナは「これまでは長くLOをしてきましたが、もともと複数の位置ができると思っていました。どのポジションでも『ともに超速』を体現します」。ジョーンズはこうだ。
「フランス代表との戦いは他と違ったものになる。(FWの)8対8が多い。(戦術が高度化した)近代のラグビーでは珍しい。そして今回は比較的大きなバックロー(FLなどのFW第3列)を揃え、フランス代表の8人のパックを打ち負かすだけのメンバーにしています。試合日は湿度が高く、(前後の時間帯で)雨も降る予報があり、そうなればより(ボールを扱いにくいため)FWのバトルが増える。今回のメンバーは、そこで戦える」
ちなみにハアンガナには、代表戦後も新たなチャレンジがある。
ワイルドナイツは昨季限りで退団しており、新天地に移る。キャンプ時点では「直近で発表されます。代理人に任せています」と微笑むにとどまったが、ワイルドナイツと同じリーグワン1部の浦安D-Rocksへ入る。
「違う場所に行くことで、新たな学びある」
