ストイックで聰明。どこかユーモアがある。原田衛が日本に帰ってきた。
6月21日、参加していたラグビー日本代表の宮崎合宿中に取材に応じた。
つい先日まで海外にいた。ニュージーランドを本拠地とするモアナ・パシフィカの一員として、サモアやトンガにルーツを持つ選手と切磋琢磨しながら国際リーグのスーパーラグビーで上位国の猛者とぶつかってきた。
公称で身長175センチ、体重101キロの27歳は、自国で戦っていた昨年までとは身体つきが違う。体重は「2キロ」アップとのことだが、見た目の隆起はそれ以上に増量したと言われても不思議には思わせない。
取り囲む記者のひとりにそう水を向けられると、こう微笑むのである。
「服が、小さいからそう見えるんだと思います」
モアナ・パシフィカではシーズン途中でHOのリザーブの座を勝ち取り、鋭いランもアピールした。そこで得られた皮膚感覚は…。
「スペースに走り込むというのは、日本代表でも活かせるなと。僕らは小さいので、(すり抜けるところを)止めるのはでかい選手にとってハードなことなのかなと思いました」
クラブハウスを自由に使えないチーム事情を鑑み近所のジムと契約したり、スーパーで鶏むね肉を大量に購入して日ごとに蒸したりと、かねてのストイックな暮らしを現地仕様にマイナーチェンジしてきた結果だ。戦いのさなかにチームの今季限りでの解散を伝えられるなど辛酸をなめながら、バージョンアップできた。
「食わないと負けると思って、無我夢中で食っていました。それでも全然、足りなかった。(周りは)僕よりひと回り大きいので。ただ、(スピード維持の観点から) 1 年でバッとは増やせないので、そこは、大変でした。最初は(公式戦の)メンバーにも入れず苦労したんですけど、どうにかして(ゲームに)出ようと、まずウェイト(トレーニングを)めちゃめちゃやりました。(言葉の壁があり)コミュニケーションを取れない分、行動や、練習でのいいプレーを積み重ねました」
今回、約1年ぶりの代表復帰を果たす。JAPAN XV名義でマオリ・オールブラックス戦(6月27日/愛知・パロマ瑞穂スタジアム/●31―38)のゲーム主将を務めたのに先んじ、得てきた財産を明かす。
「(出国前まで)日本でやってきて満足していた部分が無意識的にあったのかな。スーパーラグビーのチームに行って、そう感じました。(現地では)コンタクトの激しさが全然、違ったので。でかい相手に慣れるというのは、すごく重要かなと。(大型選手の多い)モアナでやっていたら、(他のチームの相手に)『あんま、でかくないな』『でかいのに、痩せてるな』と感じることがあったので。メンタルの面では、何か、よかったかなと。スーパーラグビーでは皆が死に物狂いでタックルしていました。そこは、(自身も)見せたいなと」
7月4日には東京・秩父宮ラグビー場で、新設ネーションズカップのイタリア代表戦に臆せず挑めそうだ。
