挫折するたびに強くなった。
今年6月にラグビー日本代表へ初選出された北條拓郎は、身長174センチ、体重80キロの24歳。攻めの起点のSHを担う。
出身の天理大では1年目からレギュラーとなり、最終学年には主将を務めている。
しかし、2年時に先発漏れも経験している。
「勢いのある1年生が入ってきて、僕自身も消極的になってしまい、スキルが足りない部分もあった。ここから、常にアグレッシブにチャレンジしていくマインドセットとかを学ばせてもらいました」
その間、支えとなったのが、長野の南信州ジュニアラグビースクールで師事した下平正さんだ。帰省のたびにトレーニングを手伝ってもらい、代表入りしたいまも連絡を取り合っている。
国内トップのリーグワンに参戦したのは2024年。来季から栃木に移る三重ホンダヒートに入った。
一定条件をクリアすれば大卒前からプレーできる、アーリーエントリーという制度を用いて天理大4年時から先発入り。当該の’23年度は、入替戦を含めて計8試合に出場した。
しかし’25年の2月、11月には、立て続けに左足首を骨折。高校時代も同じ場所を折っていて、計3度の受傷である。
「このままだと、もう1回やる」
そう諭してくれたのは、京都で活動する佐藤義人氏。天理大の12学年先輩の立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に紹介されたトレーナーに、負荷のかかりやすくなっていた身体構造を見直してもらった。足首の向き、親指の使い方を指導された。
カムバックしたのは直近のリーグワンの終盤戦である。チームのシーズンが終わった5月に代表予備軍のJAPAN XVへ選ばれ、日本選抜名義での対ホンコン・チャイナ選抜2連戦のうち2戦目でプレーした。
本人の感触では攻撃でのアピールが足らなかったようだが、「ワークレートのところ、武器のディフェンス」で評価されたか。おかげで今度の選考に喜べた。
27日、愛知・パロマ瑞穂スタジアムでゲームがある。代表選手とトレーニングスコッドのメンバーがJAPAN XVを編み、非代表チームにあって随一の強敵と言われるマオリ・オールブラックスに挑む。
ここで北條はJAPAN XVの9番をつける。正代表は7月4日から新設のネーションズチャンピオンシップに臨む。激しい定位置争いにあって、何度も這い上がってきたSHは得意技をチームスタイルに還元したい。
「(特徴である)ラックサイド(密集近辺)のアタック、テンポよく(パスを)さばいていくことが(ジャパンの目指す)『超速ラグビー』をするうえで本当に必要であり、そこをエディーさん(・ジョーンズ=日本代表ヘッドコーチ)に褒めていただいている。どんな相手にも持ち味を出したい」
