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“働く男たちの祭典”、トップイースト春季大会でクリーンファイターズ山梨が初のベスト4入り

2026.06.09

突進する山梨NO8ネマニ・スミス(山梨学院大)を迎え撃つ富士フイルムFW陣(撮影:鈴木正義)

 トップイースト春季トーナメント大会は、4月から各チームに加入した新社会人選手がデビューする大会で、各チームがお互いの新戦力を確認しながら優勝を争う大会だ。6月6日、7日の週末には東京ガスブルーフレイムスvs日立サンネクサス茨城、横河武蔵野アトラスターズvs秋田ノーザンブレッツ、中部電力vs明治安田ホーリーズ、そしてクリーンファイターズ山梨(以降山梨)vs富士フイルムBIグリーンエルクス(以降富士フイルム)の準々決勝4試合が開催された。

 ここでは、このうち山梨と富士フイルムの試合の様子をお届けする。また、あまり知られていないトップイーストプレーヤーの横顔と、まったくカラーの異なる両チーム選手の採用やセカンドキャリア事情についても触れてみたい。

 山梨はトップイーストDiv1(昨年までのAグループから改称)で昨シーズン3位、一方の富士フイルムはDiv2で3位と、この順位だけみると富士フイルムが山梨の「胸を借りる」対戦となるかのようだが、トップイーストの実力拮抗ぶりを鑑みると、それはあくまでイメージに過ぎない。

 事実、この2チームは2024年シーズンはともにBグループ(現在のDiv2)で直接対決し、1勝1敗と山梨がおおいに苦しめられた。さらに富士フイルムは今シーズンからDiv1昇格を果たした秋田ノーザンブレッツに対しても昨シーズン1勝1敗と、その安定した実力はDiv1各チームと互角と言っていい。

 試合は新緑の天然芝が美しい山梨県南アルプス市の御勅使(みだい)南ラグビー場で開催された。キックオフ後、スタメン15人中実に10人が今年の新卒選手という山梨は、やはり少し硬さがあるのか、ペナルティを繰り返してしまう。富士フイルムがこの機を逃すはずもなく、立て続けにPGをSO芳崎風太(関東学院大)が決め、6-0とまずはリードを奪った。

 しかしその後は山梨が1本PGを返し、富士フイルムも多くの時間を相手陣で過ごしたものの、山梨のフレッシュな選手たちが躊躇のないタックルでなんとかしのぐという時間が続く。富士フイルムが山梨のディフェンスをようやくこじ開け、この試合両チームを通じて初トライの笛が鳴り響いたのは前半終了間際の40分。最後はCTBの山崎悠馬(東海大)が飛び込んだ。

先制トライを決めた山崎悠馬(東海大)。趣味はサウナ(撮影:キムラアツシ)

 富士フイルムビジネスイノベーションは、プリンターやコピー複合機などで知られる言わずと知れたITテクノロジー企業だ。採用担当でもある砂田晃徳GMによると、毎年多くの入社入部希望者が富士フイルムを訪れるという。確かに同社ほどの一流企業でラグビーが続けられるのは大きな魅力だ。しかし実際に採用に至るのはほんの一部だという。

「採用の際にはここは厳しいよ、ラグビーだけやっていればいいんじゃないんだよと言い聞かせます。選手たちは全員文系。当然テクノロジーのことは専門の勉強をしてきた他の社員よりも多くのことを学ぶ必要があります。一方で2時間ずつしかない土日の練習の密度を高めるために、選手同士が常に高い緊張感を持って、1回の遅刻も許されないようなピリついた雰囲気すらある中で取り組んでいます。」(砂田GM)

 このように常に高い規律、強いメンタルが求められるチームのカルチャーは、社業でも活かされている。年間業績を牽引した営業に与えられる表彰に、ラグビー部の選手が今年も4人選ばれたという。引退後のセカンドキャリアでもラグビー部出身社員は同社の中で重要な戦力となる。企業内のスポーツチームとして理想的な存在と言えよう。

後半厳しい時間帯に声を出すキャプテン平坂桃一(LO、日本大)(撮影:キムラアツシ)
普段は腰の低い営業マン。大きな体を小さく縮める平坂。

 さて、後半は風上に立った山梨が反撃に転じる。FB具志堅竣祐(山梨学院大)が巧みなキックで陣地を挽回し、SHの川村健斗(山梨学院大)がどんどんテンポを上げてゆく。このペースに煽られたか、富士フイルムのペナルティが目立つようになってきた。

 後半7分、HOの山本陽生(流通経済大)が密集から押し込んでトライ。さらに直後のPGでついに13−13と並んだ。勢いに乗る山梨は早いテンポのパス回し、外国人選手の突進、風上の利を活かしたロングキックと、引き出しからさまざまなスタイルを取り出し敵陣に迫る。しかし富士フイルムのディフェンスも気持ちのいいタックルがビタビタと決まり、相手に決定的なゲインをさせない。一進一退の攻防が続く中で時計の針が進んでゆく。

 山梨は母体となる企業を持たない地域チームであるが、その採用はまずチームが将来のキャリアアドバイスもおこないながら就職先とのマッチングをサポートする。次に企業側との採用面接が行われ、この面接に合格して初めてクリーンファイターズへの入団が認められる。規律を守り、献身的な態度が身についているラグビー選手は、各企業からも好評だという。

 一方、引退後のセカンドライフは自然豊かな山梨で過ごす選手も多い。この日も昨シーズンで引退した高坂平コーチが、勤務先のJAフルーツからシャインマスカットを差し入れし、選手を激励していた。

決勝トライを挙げたSH川村健斗。共同キャプテンを務める(撮影:三井健)
普段は山梨中央銀行で審査を担当する川村。左は同僚でLOの鈴木大登

 そのシャインマスカット効果か、後半27分、ついに均衡を破って山梨SH川村がギャップを突いてゴール下にトライ。これが決勝点となり、その後PGの3点を加えて23-13で山梨がベスト4進出を決めた。

 同じ日、別会場で開催された3回戦の結果ベスト4が出そろった。6月14日の準決勝、山梨は中部電力と、東京ガスは横河武蔵野との対戦となる。

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