これが俺たちのチームだ。コベルコ神戸スティーラーズのティエナン・コストリーは、5月30日の一戦を誇らしげに振り返る。
ジャパンラグビーリーグワン1部のプレーオフ準決勝に、レギュラーシーズン1位のチームの一員としてシード参戦した。4位の東京サントリーサンゴリアスを69-23で下した。
ラストシーンで際立った。最高気温30度超と暑かった東京・秩父宮ラグビー場で、すでに勝負をつけていたにもかかわらず味方がだめ押しのトライを奪っていた。
FLで先発フル出場の25歳は、慎ましい言葉選びに矜持をにじませた。
「神戸は、コンディショニングに絶対の自信を持っています。相手よりハードワークして、体力のあるチームだと証明できたと思います」
デイブ・レニーヘッドコーチは、3季前にスティーラーズを率いるに看破していた。
「コンディショニング」に伸びしろがあることを、である。
旧知の専門家であるフィル・ヒーリー氏をヘッドアスレティックパフォーマンスコーチとして招聘。オーダーメイドのプログラムを課し、実戦練習中には見学する選手を走らせた。シーズンを追うごとに、粘り強さが増した。
今季終了後、レニーはニュージーランド代表ヘッドコーチとなるヒーリーもまた、全日程終了後にレニーとともに通称オールブラックスへ入閣する。
現体制の集大成を披露するスティーラーズにあって、2019年来日で入団3季目のコストリーは端正な日本語で述べる。
「プレシーズン(開幕前の期間)もいい管理をしてもらい、結果、(準決勝の)後半に動き続けられたと思います」
お互いが元気な時間帯も、自慢の攻撃力を披露していた。
数的優位を作ってスペースへショートパスやキックを繋いだり、ひとりの走者が突破口を切り開くやノンストップで突進を重ねたり。
「目の前の状況を見て、縦が空いているか、外が空いているかを正しく判断する能力が皆にある」
いつもそう呼んでいるのだろう。チームメイトを「兄弟」と呼んで称える。
「本当に今週はいい準備してきました。マインドセットも正しかったと思います。兄弟全員、 1人がいい努力をしているから、お互いに信じ合っていい結果を出せる」
無形の繋がりを実感する通称「タマ」も、持ち味を発揮した。
13点リードで迎えた後半4分。サンゴリアスの右PRで日本代表24ャップの竹内柊平が、ペナルティーキックからの速攻で自陣10メートル線付近右中間から同22メートルへ突入。その竹内の手元へ、駆け戻ってきた日本代表11キャップのコストリーが長い腕を絡める。ターンオーバー。
スティーラーズはまもなく反攻し、逆にサントリーの反則を誘って36得点目をマーク。身長192センチ、体重105キロと大柄も俊足の6番は、攻守逆転の瞬間をこう振り返った。
「いいタイミングで、よく(スティールを)遂行できた。ピンチをチャンスに切り替えられたのはよかったです」
6月7日、東京・国立競技場で決勝に臨む。クボタスピアーズ船橋・東京ベイとぶつかる。スピアーズは、レギュラーシーズン最終節で辛勝した相手である。
カードが決まる前に勝負のポイントを問われたコストリーは、セミファイナルに引き続いて「マインドセット」が肝要だと訴える。
「今週を通して、どれだけしんどくても頑張り続ける姿勢がよかったので」
自身が好守を披露した場面のような、急場におけるひと踏ん張りを自然発生させたい。控え組の「兄弟」にも触れ、こう展望した。
「(試合のメンバーに)選ばれてない選手たちがそのチーム(対戦相手)のような動きを見せてくれるし、そのなかにもすごい選手がたくさんいる。これまで試合に似た強度で練習できたから、それも(決勝までの)1週間、出してもらいたいです」
本稿掲載時にはもう準備万端か。そうであれば、製鉄会社を母体に据える「兄弟」は然るべき時に最高潮を迎える。
