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【連載】プロクラブのすすめ㉜ 山谷拓志社長[静岡ブルーレヴズ]  来季こそ戦績と集客の両方を伸ばす!

2026.05.26

(撮影:舛元清香)

 日本ラグビー界初のプロクラブとしてスタートを切った、静岡ブルーレヴズの運営面、経営面の仕掛け、ひいてはリーグワンについて、山谷拓志社長に解説してもらう連載企画。

 32回目となる今回は、7位に終わった今シーズンの競技面、事業面の両方を振り返ってもらった。

◆過去の連載記事はこちら

――レギュラーシーズンを4位で終えた昨季から、今季は順位を落として7位となりました。

 今シーズンは大きなメンバー変更もなく、周囲からの期待が高い中で開幕を迎えました。終盤はプレーオフ争いに食い込みましたが、昨年以上の戦績をファンの皆さんもスポンサーの皆さんも求めていたと思いますので非常に心苦しいです。重く受け止めなければいけない結果だと思っています。

――いまはレビューをしている最中。

 コーチやスタッフがレビューのミーティングをおこなって、いまレポートをまとめてくれています。それとは別に、選手やコーチにアンケートを取っています。

 多面的に見ることが大事だと思っているので、コーチングや戦術、コンディショニング、マネジメント、会社側のサポートなど、いろんな項目に分けてヒアリングをしています。課題や感じたこと、もちろん良かったことも含めてです。

 僕自身はしっかりそれに目を通し、来シーズンにどういう打ち手が必要かを考えていきます。

――アンケートは毎年取っているわけではないと。

 例年はコーチと選手、マネジメントのスタッフと選手でそれぞれ面談をして、そこで意見を吸収することが多かったのですが、今回は期待に沿えなかった結果ということもあるので、丁寧にやろうと話しています。

 コーチはいろんな人からの評価や感じたことをしっかり把握して、受け止めなければ成長しないと藤井(雄一郎監督)さんも言っていました。コーチの評価はぜひ選手からも聞いてほしいと言われています。

――5月13日には退団選手が発表されました。13人と例年になく多いです。

 それぞれの選手との契約期間というタイミングも踏まえて、結果的にそのような人数になりました。
 ラインアウトは今シーズンの課題だったので、LOは補強しなければなりません。すでに交渉もはじめています。

 また、来季からのカテゴリー制度の変更も踏まえた判断もありました。その影響をどこまで受けているかはなかなか申し上げにくいですが、リーグの選手登録の制度が変われば、当然どのチームでも編成に影響は出ます。

――チャールズ・ピウタウ、ヴィリアミ・タヒトゥアのカテゴリーCの2人も退団しました。W杯前年は現役の代表選手が日本のクラブに移籍しない傾向があります。

 カテゴリーCの選手は他国の代表選手ですので、良い選手であればあるほど当然年俸は高くなります。
 ただ、カテゴリーCの選手について僕が思うことは、能力が高く、他国の代表選手として優れた活躍をしているのは評価に値しますが、テストマッチがあるので11月下旬や12月上旬など開幕前にしかチームに合流できません。テストマッチで活躍すればするだけ、当然疲労度が高くなり、ケガのリスクもある。

 その点を踏まえると、どこまでカテゴリーCの選手に投資をするべきなのか、悩ましいところです。

――多くのチームが今シーズンの序盤は他国の現役代表選手のプレータイムをコントロールしていました。クワッガ(スミス)選手もなかなか調子が上がらなかったように映ります。

 カテゴリーCの選手については、どれだけお客さんを呼べるのか、つまり集客力があるかも経営的には見ていく必要があります。集客力があれば高い報酬もペイできる、という発想です。

 ただ、いまの日本のラグビーの人気度合い、注目度を考えると、オールブラックスのスーパースターが来たとしてもラグビーに詳しくない人には知られていません。なので、強化的にはもちろん望ましいですが、ビジネスとして費用対効果がどこまであるかは分からないんです。無理にカテゴリーCの3枠をすべて埋める必要もないのかなと。

 少し前まで他国の代表で活躍していたけど、最近は代表メンバーに入らなくなったような、これからは代表活動の影響を受けない30代前半ぐらいのカテゴリーCの選手が良いのかもしれません。

 選手層の厚いオールブラックスやスプリングボックスにはギリギリのラインで漏れてしまうカテゴリーBの選手もターゲットの一つです。
 実力はカテゴリーCの選手に近しく、20代後半ぐらいの一番油が乗っている時期でも獲得できる可能性があります。

 来季からはカテゴリーBの選手がA2と同じフィールドで枠を争うので、どのチームもカテゴリーBの選手に投資する流れになると思います。

 来シーズンに向けたトレーニングは7月23日から始まります。その前にはコーチングのスタッフの体制も含めて新規入団選手を発表する形になると思います。

©SHIZUOKA BlueRevs

――事業面の振り返りもお願いします。

 観客動員数は、昨シーズンは2季前に比べて横ばい、微減だったのですが、そこからブレイクスルーできました。
 昨シーズンの同時期のホストゲームの観客動員数をすべて上回ることができ、ようやく平均で9000人台に乗りました(9111名)。

 来シーズンは平均1万人を目指すことになると思いますが、首都圏のチーム以外で達成できればそれなりに価値のある数字だと思っています。ジュビロ磐田さんも平均1万人台ですので、同じ地域にあるチームとして存在感が増してきていると見られると思います。

――チームの戦績を除けば、すべての項目で昨年比を上回りました。

 チケットの売り上げは約1200万円しか増えませんでしたが、今シーズンは一部の席種を値下げしました。まずは買ってもらえるハードルを下げることが狙いだったのですが、結果として売り上げを下げずに観客数を増やすことができたのは成功と言っていいと思います。
 ただ、有料観客比率は60%台に留まってしまったので、7割にはもっていきたいです。

 またグッズも今季は1億円を目指していましたが届かず、でした。ただ、ファン感謝イベントやネット販売もあったりして、まだ売る機会があるので6月末までには9000万円には乗ると思います。
 スポンサーの売り上げも5億円まであと少しでした。

 ホームページに載せてはいませんが、ヤマハ発動機からの支援以外の売り上げは合計8億円強となりました。1年目から5シーズンで2倍にすることができました。
 これを10億円まで持っていくことが一つのマイルストーン。いよいよ目指せるなという感覚です。

――ファンクラブの会員数や売上も上がっているのは、熱量が高まっている証拠。

 今シーズンのホストゲームのスケジュールはかなり難しい状況でした。12月から2月の間に毎月に2試合あり、寒い時期に集中していました。
 しかも開幕戦は土砂降りの雨。それでも着券率を落とすことなく、観客動員数は1万人を超えることができました。

 マーケティングチームがプロモーションや招待戦略、イベントなどを徹底したおかげですが、コアファンの方が増えてきた実感もあります。

 今シーズンは「REVS HOUSE」というキーワードが浸透したこともあり、ファンの皆さんからどう盛り上げるかを考えて、主体的に動いてくれました。アンセムを歌ったり、GO! GO! REVS!! をコールしたり、前のめりになって応援してくれてビジターの会場でも大きな声や拍手を届けてくれました。

 昨シーズンは戦績が良いのに集客が伸び悩みましたが、今シーズンは戦績が落ちたけど集客は伸びた。なかなかうまく噛み合わないのですが、来シーズンこそはさらに集客のベースを上げて戦績も上げる。戦績と集客の両輪が噛み合えば、平均観客数も1万人に届くと思います。



PROFILE
やまや・たかし。1970年6月24日生まれ。東京都出身。日本選手権(ラグビー)で慶大がトヨタ自動車を破る試合を見て慶應高に進学も、アメフトを始める。慶大経済学部卒業後、リクルート入社(シーガルズ入部)。’07年にリンクスポーツエンターテイメント(宇都宮ブレックス運営会社)の代表取締役に就任。’13年にJBL専務理事を務め、’14年には経営難だった茨城ロボッツ・スポーツエンターテイメント(茨城ロボッツ運営会社)の代表取締役社長に就任。再建を託され、’21年にB1リーグ昇格を達成。同年7月、静岡ブルーレヴズ株式会社代表取締役社長に就任

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