ラグビーリパブリック

いざ、D1昇格へ。入替戦に挑む清水建設江東ブルーシャークスがファン決起集会を開催

2026.05.20

『ファン感謝祭改め、ファン決起集会』に参加した選手と約100人のファンクラブ会員。入替戦に向け結束を強めた(筆者撮影)

 レギュラーシーズン最終戦から1週間後の5月16日土曜日。横浜市にある清水建設江東ブルーシャークスの練習拠点・荏田グラウンドでは「ファン感謝祭改め、ファン決起集会」が開催された。

 この日は、毎シーズン終了後の恒例イベント「ファン感謝祭」が行われるはずだった。だが、最終節でチーム史上初の「D1/D2入替戦進出」が決定したことで、急遽内容を「入替戦に向けた決起集会」に変更。ファンとともに入替戦への気持ちを高めていくことを目的とした、これも史上初の特別なイベントが催行された。

 当日はファンクラブ会員およそ100人近くが荏田グラウンドに続々と集結。まずは準備されたメッセージボードを「絶対昇格!」「いこうぜD1」など思い思いの言葉で埋めていく。ボードは試合当日のロッカールームに飾るそうで、ホストタウン江東区から来たという男性ファンは「自分の言葉が苦しい時の後押しになれば」とマジックペンを持つ手にも力が入っていた。

 グラウンドでは交流企画「ラグビー学習会」を実施。スクラムやトライアウトなど、種目ごとに選手の指導を受けながらファンが選手とプレーをするというもので、ラインアウトで選手に高く掲げ上げられたり、選手とパス交換をしたりと、子供達はもちろん大人達からも絶え間なく歓声が響いていた。

スクラムマシーンに乗って押しを体験

 その後、セレモニーがスタート。吉廣広征ヘッドコーチによる昇格への決意表明がなされた。

「このチームは本当に厳しい環境で戦っていて、もしシーズンを3位で終えていたとしても、きっと周りから褒めてもらえたと思う。でもあえてここからさらに大変なことに挑戦して、その先の未来をつかみにいきたい。必ずこのチャンスをつかみにいきます。みんなで新しい景色を見ましょう!」

 この言葉にファンは沸き、大きな拍手。最後は参加者全員が一団となり、ブルーシャークスお馴染みの「GO!GO!シャークス」をコールし、D1昇格への決意を新たにして締めくくった。

 冒頭の通り、本来この日は「ファン感謝祭」として選手参加の運動会などが企画されていた。が、「入替戦に向けての準備を優先してほしい」とのファンからの声もあり、名称と内容が変更されることに。吉廣ヘッドコーチは「楽しみにしていたファンに申し訳ない」としつつ「スケジュールを組む段階で、入替戦があるかも、と企画スタッフに想定させることができなかった自分の責任です…」と苦笑したが、それも致し方ないことだ。

 2025-26のD1/D2入替戦にブルーシャークスが進む。そこに「大方の予想を裏切って」と枕詞を付けても違和感はない。

 吉廣ヘッドコーチが先の決意表明で「本当に厳しい環境」と表現したのは、ブルーシャークスが「日本人選手全員がフルタイム勤務」という特性によるものだ。リーグワンに社員選手は多くとも、D1、D2のなかでフルタイムで働く選手は他チームにはほとんどいない。

「俺たちこそサラガーマンだ」と胸を張るその一方、練習時間は夜7時半からで自主トレをこなすと帰宅は深夜、そして翌早朝から満員電車に揺られる…その日々の過酷さは想像以上。そもそも昼開催の多いリーグ戦を戦うには夜間練習しかできないこともビハインドの一つになるといわれ、実際ブルーシャークスはリーグワン加盟以来、昇格と残留を繰り返し、毎年のように下位ディビジョンの入替戦に臨んできた歴史がある。

 そんなチームの昇格入替戦進出はサプライズであり、すでに賞賛に値する快挙でもあるのだ。

 ただ、D3時代からプレーし、チームの成長を身をもって感じてきた在籍5年目の大﨑哲徳選手はその見られ方には異を唱える。

「ここまでの結果だけを見ればそう思われるかもしれないけど、選手としては、D1チーム相手にも十分通用するようになってきたと手応えを感じていました」。だから自分達にとって入替戦進出は「積み上げたものが形になった」だけのこと。入替戦に向けても「(対戦相手の)浦安DRはプロ選手を多く抱え、個の力もある、サラガーマンの我々とは対照的なチーム。そこで一泡吹かせたいし、その自信はあります」と闘志をみなぎらせた。

 そしてこの決起集会で、ファンも同じかそれ以上の気持ちを持っていることに気付けたことに意味があった、と吉廣ヘッドコーチは振り返る。

決意を語った吉廣広征ヘッドコーチ

「昇格を願っている、本気でD1に行ける、と思ってくれているファンがこんなにも多いんだ、と。会場では『去年は下との入替戦だったのに良かったね』『がんばったね』なんて言葉はなくて、『入替戦はどう戦うんですか?』『プランは?』ってことばかり(笑)。ここで満足してる人はいないんだ、ということが驚きでもあったしうれしかったです。ファンも、勝つ気満々なんだって」。

 ブルーシャークスの魅力を「ファンとの距離感の近さです!」と教えてくれたファン歴4年目という女性は「少し早いかな、と思ったけど、いつかD1にいくことは信じてました。でも、去年は下との入替戦だったのに、ここまでくるのにどれだけ努力したのかと思うと…」と話し涙を見せた。

 決起集会後、「昇格したら次はファンと報告会で盛り上がりたいですね!」と話したのは、今季11トライとチームを牽引し続ける西端玄汰。運命を決する2試合は5月23日、30日に、いずれも夢の島競技場で開催される。

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