フィジカル自慢がFWのラインナップにズラリと並ぶ三重ホンダヒートにあって、人一倍動き回って下支えする存在だ。
肥田晃季。177センチ、100キロのHOだ。
中部大春日丘、筑波大を経てヒートに加入。今季で入団3季目を迎える。
1年目から出場機会を掴み、2シーズン目の昨季は1試合を除いて全試合に出場。今季も全試合でメンバー入りしている(第11節は不出場)。17節にはリーグワンキャップ50に到達した。
スクラムで対峙するトイメンは、日本代表やワールドクラスの選手ばかりだ。それでも出場を重ねたことで、「変に気負ったり、緊張することはなくなった」という。
「相手がこうだからこうしようと変えてしまうとおかしくなってしまう。自分たちのやりたいスクラムにフォーカスしています」
「ゆくゆくは自分のやりたいプレーを織り交ぜながら、楽しくラグビーがしたい」と微笑むが、「いまは自分の役割をただひたすらやり続けるだけ」と意志は固い。
昨季とは異なり、先発の多くは現役フィジー代表のテビタ・イカニヴェレに譲っているが、どの立場でも役割をまっとうする。
「2番で出る、16番で出るということはあまり考えないようにしています。人とは比べていません。(あくまで)自分の成長にフォーカス。与えられたところで全力でやります」
「FWのフィジカルはリーグでもトップクラス」と自負する中、自身は「そこまでフィジカルでは期待されていない」と自覚する。
豊富な運動量でアピールしてきた。原点は高校時代の自主練だ。
「いまも少しボヨボヨですけど、当時はもっとボヨボヨで体力が全然なかったんです。学校の脇にある坂道で、50メートル近くダッシュで上がって歩いて降りる自主練を動けなくなるまでやっていました」
グラウンドに投入される後半20分前後は、互いに疲労が溜まる厳しい時間帯だ。それも、肥田にとってはどんとこい。
「(出場時は)試合前に決めていた戦術が変わってしまったり、シェイプも崩れます。でも、そこで味方のサポートに回ったり、ディフェンスの小さな穴を埋めたり、臨機応変に対応するのは結構好きです」
今季安定しているスクラムでの貢献も大きい。リザーブ出場では、坂和樹とフェインガ・ファカイでスクラムの両脇を固める。ともにバックロー出身でプロップ歴は浅い。
「あまり多くを話しても試合中にこんがらがるだけ。多くても3つぐらいに絞って、こことここを意識しようと話しています」
チームは今季、最終節を残して6勝を挙げた。昨季から2つ勝ち星を伸ばし、リーグワンとなってから初めて入替戦を脱した。
積み上げた6勝の中には、東京サントリーサンゴリアスと静岡ブルーレヴズからの初勝利も含む。2連覇中の東芝ブレイブルーパス東京も二度破った。
開幕5連敗と苦しんだ序盤戦との変化を、肥田はこう分析する。
「シーズン序盤は他のチームと比べて明らかに自陣からのエグジットの成功率が低かったです。なので、無理せず敵陣に入ろうと。そうすれば、たくさんいるペネトレーターや強みのモールを生かせる。テリトリー重視の戦術になってからは、やることが明確になりました。
失点した後も、どうすれば最短距離でチームの強みに持っていくかを話し合えています。みんなが焦らずにプレーに集中できるようになりました」
残念ながら終盤戦まで繰り広げられたプレーオフ進出は逃したが、5月9日に迎える最終戦は決して”消化試合”ではない。
宇都宮への移転前最後の鈴鹿でのホストゲームだからだ。
「鈴鹿では今年まだ1回しか勝っていません。やっぱりホームで勝ちたいです」
ラストゲームで勝利を届ける。
