一枚岩のラインを整備し、機を見て接点に人数を投下する。トヨタヴェルブリッツが、シーズン終盤にきて守備力を高めてきた。
4月26日、東京・秩父宮ラグビー場。ジャパンラグビーリーグワン1部の第16節でその凄みを示す。5点リードの後半26分、相手ボールの接点を複数名が束になって乗り越える動きでだめ押しのトライを生んだ。
前節終了時の順位で3つ上回る4位のリコーブラックラムズ東京に40-28で勝ち、6傑が進めるプレーオフ行きへ可能性を残した。
4日の第14節でも堅陣を張り、すでにプレーオフ行きを決めていたクボタスピアーズ船橋・東京ベイに24-7で勝っていた。
シーズン序盤は大量失点する機会も多かったなか、何をどう改善したのか。
実質1年目でSO兼FBの小村真也は、担当の佐々木隆道アシスタントコーチとの改善の日々を振り返る。
「シーズン始めはあまりうまいこといっていなくて。個人、個人で(バラバラに)ディフェンスしてしまっていた。(いまは)1、2人目のタックル(の役割)が明確に。(次第に)練習から自分たちのディフェンスのスタンダードが上がった」
多くの各国代表経験者を揃えながら一時は最下位に沈んだが、そのタイミングで「強みに立ち返る(きっかけがあった)」と小村。守りを整備したうえ、好位置で力勝負を仕掛けられるよう作戦に磨きをかけた。
FW陣にパワーランナーが並ぶこと、自身を含めて空中戦を好むBKが揃うことを踏まえ、司令塔団からの高い弾道のキックを多用。その手が奏功して白星を得られるようになったら、別な種類のキック、シーズン前の理想形だったカウンターアタックも機能させる。ブラックラムズ戦の序盤は、蹴ってもおかしくないエリアでランとパスを主体にした。
「ボール持って動かすのが昔からあるスタイル。そこにキックをちょっとだけ入れながら…という形です。きょう(ブラックラムズ戦)は最初のほうにボールを持っていてうまくいくシーンが多かったので、それを継続しました。シーズン終盤に来て、攻めるところ、蹴るところの判断について、全員で同じ絵を見られているのが大きいです。抽象的ですけど、コネクションが強くなっている」
こう話す小村は司令塔のSOを本職とする。身長180センチ、体重92キロのサイズで相手のタックラーへ近づきながらのパス、長短のキックを繰り出す。
スピードも豊かなだけに、チームでは最後尾で好機を作るFBも託される。
ブラックラムズ戦ではFBで先発し、7-14とビハインドを負った前半39分に持ち味を発揮する。
まずは自陣22メートル左中間の自軍スクラムから右側へ出た球をさばき、同僚でCTBのシオサイア・フィフィタを走らせる。フェーズが重なるなかで右端へ回り込み、パスをもらうや目の前の隙間を突き破ってトライ。直後のゴール成功で同点に追いついた。
以前のゲームでも、人垣を切り裂いてのトライやチャンスメイクで人を魅了している。昨秋、日本代表デビューを果たした23歳はこう微笑む。
「自分の直感を信じてランニングゲームをやって欲しいと言われている。ボールを持って走るのはもとから好きなので、ちょっと(フィールドの)外側で走るシーンが増えているかなと」
後半21分にSOに入ってからは、28-21としていたスコアを28-28に詰められながらも終盤に勝ち越し。向こうのペナルティーでもらった得点機を一丸となって活かした。
自らのゲーム運びそのものについてはコーチ陣に指摘されることもあるが、集団が一枚岩となりつつあるのは確かだと話す。
5月2日には愛知のパロマ瑞穂ラグビー場へ、目下5位の東京サントリーサンゴリアスを迎える。
