さっそく、静岡ブルーレヴズが試された。
4月24日、東京・秩父宮ラグビー場で臨んだのは国内リーグワン第16節だ。試合開始早々、連敗を11で止めたい浦安D-Rocksが、カウンターアタックを仕掛けてきた。ブルーレヴズ側から見て左側を大きく攻略され、22メートル線エリアまで侵入を許す。
粘った。抜け出す走者を仕留めたのは、ゲーム主将でCTBのチャールズ・ピウタウ。身長186センチ、体重102キロの34歳だ。
勤勉な戻りで流れをせき止めると、それ以外の面々が一気に防御網を押し上げる。一枚岩のラインを敷きながら、得点を許さなかった。
ここで目立ったのは日野剛志だ。身長172センチ、体重95キロで36歳のHOは、迫る走者に鋭いタックルを浴びせていた。最初のピンチを切り抜けるその一助を担った。
7-0とリードして迎えた前半12分頃にも、日野は自陣ゴール前で鋭利に刺さった。周りのメンバーも堅陣を支え、この日の試練を乗り越えるだけの組織力を示した。
日野は自らのタックルを「たまたまそういう場面が多かった」と謙遜しつつ、最近のゲームでしぶとく守れるようになった背景を語った。
引き合いに出したのは、18日に静岡・エコパスタジアムで挑んだ第15節だ。首位の埼玉パナソニックワイルドナイツに24-34と惜敗も、向こうのアタックを首尾よく跳ね返すシーンが多かったのだ。
「先週から、変化があったんです。ゴールラインに近づいた時のプライドを見せられた。そういう戦いは、本来のうちがすべきものです」
さらにこの夜は、いつも以上に団結力が問われていた。
というのも、もともとNO8で先発予定だったクワッガ・スミス主将が急きょ欠場していたのだ。世界有数のボールハンターは不在とあり、「誰かがガバッとボールを獲ってくれるわけではない」と日野。果たしてブルーレヴズは、ゲームの中盤以降も危機をしのいでいた。
持ち前の波状攻撃が奏功したのもあり、28-0でハーフタイムを迎えられた。タフな守りについて、日野はさらに解説する。
「(やや負けが込んでいたシーズン序盤は)当たり前のこと——ひとり目がロー(低い)タックルに行けない、ハイタックルをしてしまう——といったところで自分たちから苦しんでいた。ただ、きょうはディフェンスのいいサイクルを回すための規律が保てた。そのための努力は素晴らしかった。特に前半は全員が15分の1の仕事ができた。やっていて楽しかったですね。危ない場面はありましたけど、チームで同じ方向を見て頑張れている感覚がありました」
試合を追うごとによくなっているのはスクラムも然り。この午後はいくつか相手ボールで押されるシーンはあったが、自軍ボールでは再三の好プッシュからペナルティーキックを獲得。ここ数週間で、生来の段取りを見直したのがよかったと日野は言う。
「先週のワイルドナイツ戦を含め、チームとしては尻上がりに調子がよくなっています。きょうも自分たちのスクラムを組めればペナルティー(キック)をもらえた。受けに回った時に押されましたが、それで火がついた。誰かがうまく役割を果たせないとそうなる(食い込まれる)という、いい学びがありました。襟を正すというか、基本に立ち返っただけです。それから——まだ改善しているところですが——レフリーや相手への対応も練習で意識しています」
結局、49-26で白星を掴み、6勝10敗とした。他チームの結果が出そろう前の段階で12チーム中7位と、2シーズン連続でのプレーオフ行き(6傑入り)へ緊迫した戦いを続ける。
しかし2012年に事実上のテスト入団でこのクラブに入った希代の顔役は、「いまはプレーオフのプの字も出していない」と強調する。
「目の前のプレーに集中しようと、選手のなかで言い合っています。それがよかった」
一戦必勝。5月2日には秩父宮で、2連覇中で第15節まで6位の東芝ブレイブルーパス東京とぶつかる。
