ラグビーリパブリック

約3年ぶりの公式戦。スピアーズ岡田一平は「元気のない自分をチームは求めない」

2026.04.26

岡田一平[S東京ベイ/SH](©︎JRLO)

 日本代表19キャップの藤原忍が怪我で退いた。前半26分のことだ。

 クボタスピアーズ船橋・東京ベイは4月25日、本拠地のスピアーズえどりくフィールドでアクシデントにさいなまれた。ジャパンラグビーリーグワン第16節において、8-0とわずかにリードしていた時間帯だ。

 国際経験のある背番号9がスタッフに担がれピッチを去った時、藤原と同じSHとしてベンチにいたのが岡田一平。身長165センチ、体重75キロの32歳は、今季初のベンチ入りだった。想定していたよりも早く出番を言い渡されたが、堂々としていた。

「サプライズではありましたけど、準備はできていました」

 振り返れば、部内でリザーブが発表された瞬間からずっと仲間たちに「一平、行け!」「緊張してる?」と「いじりも込み」でたくさん声をかけられていた。いざ当日になれば、スタンドから「一平コール」を背に受けた。

「気にしないようにしても、無理ですね。力になりました」

 明るさとガッツで愛される日常がそのまま移行されたようなスタジアムで、強気の仕掛けとさばきを披露。強靭さとサポートセンスを活かし、2つのトライもマークした。三重ホンダヒートを54-21で破り、シーズン13勝目を挙げた。個人でもプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。

 この日は同じ2016年度入団で、日本代表19キャップのピーター・ラピース・ラブスカフニとともにフィールドに立った。

 今季限りでスパイクを脱ぐ37歳のナイスガイは、先発のFLで渋い働き。岡田は、ベンチ入りの決まった週の頭からの様子を楽しげに紹介した。

「毎日、挨拶は『へい、同期!』で始まる仲です。ラピースは『同期』という言葉が好きみたいで。今週は月曜から、挨拶の力は強まりました」

 大阪の常翔学園高、早大で主将を務めた。かねて世代有数の逸材と見なされながら、層の厚いクラブでレギュラーになるのは簡単ではなかった。現行のリーグワンができてからの出場は、戦前までにたった1度。‛23年4月8日の第14節に後半17分から出て、花園近鉄ライナーズに55-17で勝ったのが最後だった。

 プレータイムをもらえるのは、セカンドチームが対象の練習試合が主だった。実力者にとって簡単なシチュエーションではなかったが、自らの美学とチームに根付く文化のおかげで組織に必要な人間でいられた。

「40分以上(試合に)出たのは(この午後が)ここ数年で初めてですが、(動き回るポジション柄)フィットネスを切らせてはいけない(からとずっと走り込んできた)。スキル(練習)もやるべきことをやり続けた。諦めたら、そこで終わりなので。…あ、どこかの漫画みたいな話ですけど…」

 90年代に人気のバスケット漫画『SLAM DUNK』の名台詞がつい、口をついた。さらに述べる。

「…止めない、ということが自分の『筋』でした。辛い部分はありましたが、クラブハウスで僕が暗い顔をするのを誰も許してくれない。少しでも喋らんかったら『一平、元気ないやん』と言われる。あぁ、俺は、ずっと喋っておかなあかんねんなと。ある意味、自分のポジションを理解させてくれるのがチームメイトでした」

 レギュラーシーズンは残り2試合で、スピアーズは12チーム中3位。すでに進出を決めているプレーオフへの上位参戦を目指すなか、攻防の起点となるSHで故障者が相次いでいる。雌伏の期間に一貫性を保ったベテランに、課される役割は大きそうだ。

 今回はゲーム運びの緩急に課題があったようだが、「速い(テンポで動かせている)がゆえ、(スローペースで展開できるよう)コントロールはできる」と前向き。無敗記録を29に伸ばした会場の隅で、勇ましく言い残した。

「元気のない自分をチームは求めていない。これまでも、これからも、元気な、ハッピーな自分でありたいです」

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