リコーブラックラムズ東京の社員選手だ。
キャリアの途中からラグビー専業のプロ選手に切り替える元社員の後輩が増えるなか、2020年入社で28歳の西川大輔はいまの立場にこだわる。
「リコーがブラックラムズを続けるうえでは社員選手が大切になってくる。後輩にも社員で頑張る選手が増えてほしいです」
話したのは4月17日。東京・秩父宮ラグビー場の取材エリアだ。三重ホンダヒートとのナイトゲームを49-5で制し、シーズン9勝目を挙げた夜である。
この日は‛16年度に旧トップリーグで新人賞獲得の松橋周平が、クラブ100キャップを記録していた。32歳の現役レジェンドの姿があしらわれた記念Tシャツに太めのデニムに合わせ、西川はその場に訪れていた。
本番中は、白地の背中に黒で「11」と書かれたセカンドジャージィをまとって渋く光った。
前半6分、22メートル線付近の左中間で防御ラインを押し上げる。向こうが後逸させたFLのブロディ・マクカランとともに反応し、中盤で大きめのドリブルを挟んで敵陣ゴール前右中間で捕球する。
追っ手に捕まりながら、サポートについていたマクカランへパス。すぐに起き上がって接点から球をさばき、右端で待つCTBのラメカ・ポイヒピのトライを促した。
「しっかり上がってディフェンスをするのが今週のテーマ。(好機では)皆でファインドスペースができた感じです」
その後も前半続く36分には自らフィニッシュ。それを前後し、身長184センチ、体重90キロのサイズでタフに動けるよさを発揮した。ルーズボールへの反応をスコアに繋げたり、大量リードを背負って自陣ゴール前でトライセーブを決めたり。
「点差は気にせず、自分のやるべきことをやるという感じでした」
部員数の限られる愛知の豊明高を経て、全国大会の経験が少ない中京大へ進んだ際でもレベルの高さを感じたほど。それでもフィジカリティと将来性が買われて日本最高峰の舞台へ飛び込み、相次ぎやってくる海外出身者、名門出身のライバルとの定位置争いで爪痕を残している。
‘24年就任の有賀剛アシスタントコーチの指導で「ラグビーナレッジ」が高められていることに感謝しつつ、世田谷の拠点で作り上げたマインドセットを示す。
「派手なトライが獲れたり、むちゃくちゃ足が速かったりするわけではない。ただ、コーチに指示された当たり前のことは100パーセントやり切ろうと思っています」
やるべきことをやり切り、コーチたちの信頼を勝ち取る。
第5節の今季初出場から11戦続けてゲームに出て、順位は12チーム中4位。残り3試合でクラブ史上初のプレーオフ行き(6傑以内)へ、「見たことのない景色が見られるという興奮(がある)。3試合ひとつひとつが大切になる」と日々を過ごす。
