4月、オーストラリアへ遠征しU20オーストラリア代表に挑むU23日本代表。35名の中に朝鮮大4年CTB李智寿(り・ちす)が2年連続で選ばれた。昨年は前半を19-14とリードするも後半6トライを献上し26-54で敗れた相手にリベンジを果たしたい。
智寿は昨年2月、将来の日本代表選手の育成を加速するためのプロジェクトである「JAPAN TALENT SQUADプログラム2025」に選出された。6回の合宿を経てU23代表入り。明治大、早稲田大、東洋大、天理大など全国の1部強豪校にまじり2部校からは智寿1名だった。
「楽しみと緊張感」。当時をそう振り返る。ラグビーは小学生の時に尼崎ラグビースクールで始めた。東大阪朝鮮中、大阪朝鮮高時代を含め代表とつくレベルは高校時の「オール大阪」のみ。
遠征3試合のうちオーストラリア戦など2試合は、智寿が争うポジションではSO伊藤龍之介(明大)、CTB12平翔太(明大)、CTB13福島秀法(早大)、FB竹之下仁吾(明大)が先発を務め、リザーブも野中健吾(早大)、上ノ坊駿介(天理)と逸材がメンバーを占めた。智寿は最終戦のランドウィック戦に13番をつけて出場し、31-36で敗れたが、キッカーを任され3Gを決めた。
エディー・ジョーンズHCからは、「足りない部分はパスやキックの一貫性。ちょっとミスも出たので一貫性をもってやる。たくさん課題が出されました。フィジカルの部分では評価してもらえました」という。
今年は4戦すべて試合に出たい。「オーストラリアには去年、負けたのでしっかり勝ちたいという思いがあります。前半はしっかり戦えたが、後半になり疲れも見えてミスがあったのでしっかり修正したい(今年は4月11日に対戦)。戦術も昨年と基本的に変わっていません。セットプレーなどの質を高めることにこだわっている。自分は、しっかり強い当たりのフィジカル系を出していくとともに、パス、キックの一貫性をもったプレーを見せていきたい」と意気込みを話す。
智寿の代表活動はその後も続いた。帰国すると5月にJAPANXVに選ばれてニュージーランド学生代表と試合をした。5月20日の第1戦はCTB13。前半19分にチーム3本目のトライをマークした。80分ピッチに立ち、78-28の勝利をつかんだ。第2戦はリザ-ブ、後半18分から出場(30-21で連勝)。
さらに6月には、男子セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)入り。フル代表とセブンズ代表の間で若手に国際試合の経験を積ませる意向を受け、9月、10月とセブンズ日本代表13名に選ばれた。
9月20日~ 21日におこなわれた「アジアラグビーエミレーツセブンズシリーズ2025 中国大会」、日本は決勝で香港に12-31で敗れ2位。13番を付けた智寿は、大会記録によれば(掲載分のみ)プール戦のスリランカ戦(38-7勝利)で1T1G、47-5で大勝したシンガポール戦でも1T1Gを記録した。
10月18日~ 19日の「アジアラグビーエミレーツセブンズシリーズ2025 スリランカ大会」も、日本は同じく香港に阻まれ2位。プール戦、智寿は47―0タイで2G、33-0UAEでは1T1Gを決めている。
今季はセブンズ代表には参加しない。2028年のロサンゼルス五輪には日本国籍の選手が選ばれる。韓国籍の智寿は対象から外れる。その分、朝鮮大に注力したい。昨季、朝鮮大は関東大学リーグ戦2部で1勝6敗の7位にとどまった。智寿はセブンズ代表後の第5節、國學院大戦(10月26日)からピッチに立った。辛うじて入替戦で東京農業大を下し2部残留を決めている。
2026年4月、最上級生となり主将を任された。「朝大は、かわらず上を目指して進むしかない。大阪朝高も合同チームになりました、年々、人数が少なくなっている。いま朝大にいる僕たちしかいない。人数を増やしていくことは難しい」。
U23やセブンズの代表活動で、プレーはもちろん生活態度など意識の面でも変わってきた。「練習ではグラウンドに一番、最初に出ることを心がけています」。身体も1年時、身長178センチ、体重は75キロだった。ウエートトレーニングや食事を大切にして86キロまで増やした。ロングパス、正確なキック、ディフェンスの隙間を見つけ走り込むラン。すべて成長を遂げている。
今年は「みとう」が、チームのチームスローガンだ。「前人未踏の『みとう』です。今までの先輩たちが足を踏み入れていないところへ到達していこう。自分が到達していない場所へ到達しよう。日々、努力する」。
朝大の最初の公式戦は4月19日、「関東大学ラグビー連盟SEVEN ASIDE大会2026@法政大グラウンド」だ。「16日に帰国するのでたぶん出場すると思います」。エディーさんも「良い選手」と評価する智寿。まずはチームに貢献したい。
