個の力を示した。
身長187センチ、体重102キロの快足を飛ばしたのは3月21日。所属する埼玉パナソニックワイルドナイツの拠点、熊谷ラグビー場でのことだ。
アウトサイドCTBとして先発した国内リーグワン第12節で、後半5分頃、対するリコーブラックラムズ東京の防御網を破る。
深い角度からパスコースへ駆け込み、大柄なタックラーの脇にできた隙間を鮮やかに通過。約40メートルもの距離をノンストップで駆け抜け、この日チーム3つめとなるトライを演出した。
それを前後し、相手を引き寄せながらのパス、敵陣22メートル線付近でのラインブレイクでチャンスを量産。31-7で11勝目を挙げたが、自身への賞賛の声には慎重に応じた。
「チームのパフォーマンスがいいからこそ、自分のプレーがよくなっている。毎週、一貫性を持って試合ができるのはよいことです」
南アフリカ生まれでオーストラリア出身の28歳は、2017年に初来日して練習生からステップアップ。昨秋までに日本代表38キャップを獲得と進歩してもなお、組織の一員としての振る舞いにぶれがない。
「いまは特段、自分のことを振り返ることはありません。まず、チームとしてどう試合を運んだかをレビューしてからです」
この「まず、チームとして…」という言葉を皮切りに、話題は「チーム」の動きに及ぶ。
19-7とわずかにリードの後半30分。ワイルドナイツはイエローカードでメンバーを欠く状況ながら、中盤右端の接点でターンオーバー。まもなく加点していた。
数的不利を強いられながら、相手の攻めを断つどころか得点できたわけだ。堅守速攻の看板通りのこの場面について、ライリーはこう説く。
「チームとして10分間、うまく対応できたことに満足しています。お互いのためにプレーする意思を表せました」
注視すべきは、その接点で球を奪い返したひとりがライリーだったことだ。その場における2人目の防御役として、走者に絡んだ。同僚のFLであるラクラン・ボーシェーの後方からの押し込みもあり、攻撃権を手繰り寄せた。
ブラックラムズのSHであるTJ・ペレナラが再びボールを奪いに来たのにも、ライリーは体当たりした。やがてワイルドナイツはテンポよくアタックし、ライリーのさばきもあってだめ押し点を記録した。31分だった。
自らの仕事で「チーム」のファインプレーを成立させたこの流れを、「少し(向こうへ攻める)スペースを与え、そこへ圧力をかけられた」と述懐。あくまで仲間同士の繋がりがもたらしたシーンだと強調した。
「ここでは内側(フィールドの中央近辺)からブレイクダウンにプレッシャーをかけろというコールがありました。相手に(ニュージーランド代表89キャップの)ペレナラ選手のような9番(力のあるSH)がいるなかでも、ラックに圧をかければ起点を崩壊させられたり、球出しを遅らせることで次のセット(味方の防御ライン形成)をしやすくさせたりする」
個人の状況判断を支える「コール」は、ライリーが出すこともある。
「(ライリーのおもな立ち位置である)外側から相手のアタック——陣形、次になされるプレー——がよく見えることが多くあります。内側の選手とのコミュニケーションは、自分の大きな仕事です」
今季は第3節で手を故障。復帰は第11節まで待った。
戦列を離れて再確認したのは、競技人としての「欲」の強さだった。
「ここ数年たくさんラグビーをしてきましたが、プレーできてない間は試合に出られることがどれだけよいことだったかを思い返すこともありました。そうして、(その場に立ちたい)欲が、チームを助けたい思いが、湧いてきました。よりよい状態で戻るためのコンディショニングをしていかなくてはとも感じました」
カムバックから3つのゲームを通し、楕円球を追う楽しさに浸る。これからももっとうまく、強く、組織に必要とされるアスリートになりたい。涼しげなトーンで「ラグビーへの情熱を、抱いています」と話した。
