友に命運を託した。
3月22日、東京・秩父宮ラグビー場。国内リーグワン1部の第12節は後半39分を迎えた。三重ホンダヒートでゲーム主将をするLOのフランコ・モスタートは、反則を奪うとペナルティーゴールを選んだ。
21-22と1点差を追うなか、決まれば3点を得て勝ち越せる。ここではあえなく失敗に終わったが、その約3分後にあったペナルティ―キックの機会でも不変。迷わずキックをチョイスする。
キッカーを頼んだのはダーウィッド・ケラーマン。自身と同じ南アフリカ出身で親交の深いプレーメーカーだ。
いずれも敵陣10メートル付近からの挑戦。難しい位置で、2本目の際に至っては脳裏に失敗の残像が残っていそうだったが、見事に成功させた。24-22。ノーサイド。
「決めてくれると信じていました。入ってくれてよかった…とも思いましたが」
モスタートがこう振り返れば、ケラーマンは笑顔で応じた。
「どちらのキックも緊張しましたが、考え過ぎず、『顔を落としたまま。フォロースルーもきちんと』といった自分がしないといけない動作を確認しました。特別なことはありません。試合前には『勝とうが、負けようが、何が起きようがチームとして一丸になってやろう』と言い合っていました。そんななかフランコに2本目を託され、信頼されていると感じました。蹴るしかない。それだけでした」
2連覇中の東芝ブレイブルーパス東京から、同カード2連勝を果たした。現在12チーム中9位ながらプレーオフの進出圏内にある。
渦中、2021年来日のケラーマンは、SO、CTBとして攻守に堅実なプレーを繰り返す。クラブ自慢の多彩なアタックについて、こう口にする。
「相手防御を操作するのを心がけます。また、うちのバックスにはマノ(レメキ ロマノ ラヴァ=FB)やテビタ・リー、(山下)楽平(以上WTB)といった経験があり何もないところから何かを生み出せる選手がいる。そのため落ちついてアタックできます。またFWのいい仕事がいいスペースを作り出してくれるのにも助けられています」
身長185センチ、体重97キロの25歳。今季のリーグワンにあっては、日本代表資格のある「カテゴリA」に区分される。本人もかねてジャパン入りを狙うと各所で述べているが、いまは上昇気流に乗りつつあるチームですべきことをしたい。
「代表に入れたらとても嬉しいし、喜ばしいことです。ただ、(活動開始前の)現段階でそこだけにフォーカスを置くべきではないと思っています。自分が集中してやるべきなのは、ヒートファーストで毎試合戦うことです。チームの目指すところへ行くことで自分にチャンスが巡ってくるのが一番いいことです」
