ラグビーリパブリック

盟友から球を奪取。スピアーズのマルコム・マークス、至高の大一番を語る。

2026.03.18

マルコム・マークス[S東京ベイ/HO](撮影:長尾亜紀)

 ワールドカップを2連覇したチームの仲間と、ライバルになれる。

 ラグビー南アフリカ代表87キャップのマルコム・マークスにとって、日本のリーグワン1部はそういう場所だ。

 3月14日、東京・秩父宮ラグビー場。所属先で戦前1位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが第11節で対峙したのは、同3位で1敗同士の埼玉パナソニックワイルドナイツ。事実上の首位攻防戦の相手チームには、同じ南アフリカ代表で97キャップのダミアン・デアレンデがいた。

 マークスがわかりやすいマッチアップを楽しんだのは、10-15とワイルドナイツがリードの前半38分頃だ。

 インサイドCTBで先発のデアレンデが身長190センチ、体重105キロのサイズでパスコースへ駆け込む。スピアーズから見て右中間で敵陣22メートル線を破る。2フェーズ前に突進したばかりなのに、迅速に最前線へ戻っていた。

 迫るデアレンデに対しては、まずはスピアーズオペティ・ヘルがタックル。身長190センチ、体重127キロの右PRが仕留める。接点を作る。

 ここでデアレンデの持つ球に食らいついたのが、身長189センチ、体重117キロでHOのマークスだった。

 地面にできた密集に覆いかぶさるような、かつ自立した体勢でスティールに成功した。向こうの反則を誘った。

「デアレンデは質の高い選手。オフフィールドではもちろん友達ではありますが。普段のチームメイトとあのように戦えるのは光栄です」

 それにしても、この午後の南アフリカ代表勢の働きは圧巻だった。デアレンデは攻守に強さ、懐の深さ、しぶとさを示した。

 昨年、世界最優秀選手となったマークスも、ぶつかり合いで激しく、倒れた後の起き上がりが機敏だった。

 毎年の代表戦では、組織として常に狙われる立場にある。世界中からの猛威を全力で跳ね返し、世界ランク1位を保つのがいまの南アフリカ代表だ。2人のような長きにわたる常連組は、国内リーグで疲れの色をのぞかせてもおかしくなさそう。事実、今季は、両者ともいくつかの試合を欠場している。

 それでも今度の大一番では、31歳のマークスも、34歳のデアレンデも、最上級のパフォーマンスを発揮した。

 スピアーズのフラン・ルディケヘッドコーチは頷く。

「ビッグプレーヤーは、試合のスタンダードを上げてくれます。マークスはリカバリーのため出場しないこともありましたが(直近2試合欠場)、今回は戻ってきてくれて十分な仕事をしました。デアレンデもセンターとして脅威でした」

 マークスはこうだ。

「答えるのが難しいところであるけど、プレーするチームがどこかの代表であれ、クラブであれ、チームのためにどれだけできるかを考えるのは変わりません。だから、(他チームの南アフリカ代表選手とは)グラウンド外では仲良くやっていますけど、グラウンドではやり合うものです。(自身の)コンディションは、いいと思っています」

 結局、スピアーズは惜敗した。

 30-25と5点リードで迎えた最終局面。反則をせず、かつ激しいタックルで37フェーズもの局面を耐えた末に屈した。38フェーズ目で、左大外の穴場をえぐられた。

 その時ベンチに退いていたマークスは、仲間を讃えた。

「最後の最後は残念な気持ちでした。ただ、これもラグビー。私たちのディフェンスは本当によかった。本当に身体を当てていた。あそこまで点を獲らせなかったことはポジティブです。そんななかワイルドナイツがあれだけフェーズを重ねてトライを獲り切り、ゴールキックも決めたのがむしろ凄かったのです。ポジティブな要素も多いし、学びも多かった。選手たちの努力には満足しています」

 話したのは試合直後のスタンド下。「いい選手たちが、いい試合、いいパフォーマンスをしたのがきょうでした」と簡潔に締めた。

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