2025-26シーズンのリーグワンは3月に入り中盤戦を迎えている。ディビジョン(D)は異なるが、レギュラー定着に向け公式戦に出場しながら一歩ずつ歩む大阪朝鮮高OB2名がいた。
3月1日、D3(3部)第8節、ルリーロ福岡は上京しクリタウォーターガッシュ昭島と対戦。試合は開始2分でルリーロの司令塔SO松尾将太郎が左中間へ運び先制した(Gも松尾が決めて7-0)。
しかし幸先良いスタートも、昭島のディフェンスに圧力をかけられ反則を奪われる。まずは5分にラインアウト起点に同点にされると、13分、21分、25分と同じようにPKからラインアウトで4連続失トライ。7-26と大きくリードを許した。
後半も先にPGを決められ、最終スコアは31-55。相手にPKを16回与える自滅で敗れた。ルリーロは雪の延期があるため7試合を消化、2勝1分け4敗、勝点10で4位だ。昭島は開幕戦以来の勝利で(2勝6敗、勝点12)、3位へ。
この試合、ルリーロのNO8として先発したのが金智成(きむ・ちそん)だ。後半36分までピッチに立った。後半29分のチーム4本目のトライ前に敵陣ゴール前でキャリーを見せ、5点へつなげる働きをした。
試合を振り返り「最初、イージーに点が取れた後に乗りきれなかった。規律の部分と簡単にボールをロスした部分、そこで苦しめられた。修正して安定して敵陣に入れる時間帯を作られれば(行方が)分からないゲームでした。チームの規律を保ちつつディフェンスするのが出せなかったのが敗因」。
大阪朝鮮高3年時、第100回全国高校大会(冬の花園)で4強入り。卒業後は朝鮮大へ進み関東大学リーグ戦2部を同期の7名とともに主戦場とした。リーグ戦1部昇格はかなわなかったがリーグワンへその場を移すことを選んだ。
リーグワンには昨年12月14日の第1節、ヤクルトレビンズ戸田戦にNO8でデビューした。7試合で先発が5、リザーブ2とすべてでメンバーに入る。
174センチ、94キロと第3列を担うには小柄だ。しかし、自らもNO8でサクラのジャージーを背負ったルリーロ豊田将万ヘッドコーチは「身長は関係ない」とし、智成を評価する。
「一番の魅力はグラウンドで生き生きしている。これはチームにとってもありがたい。元気を与えてくれる。ボールを持つこと(キャリー)は好きだし。今年はディフェンスのところ、接点など試合を経ることで良くなっている」
智成もチームが求めに応えることが出場できるカギと理解する。
「求められているボールキャリーの完結、インパクトのところ、ディフェンスでしっかりターンオーバーの起点になる。ワークレートを増やすという課題に取り組めています。試合でしっかり数字として出せているのが今シーズン、出場できている大きな要因と思う。前半から登場するにしても後半からにしてもグラウンドに立っている時間、チームにプレーと声かけ、姿勢で元気をもたらしつづけるプレーヤーになりたい」
チームには今春、朝鮮大からアーリーエントリーで1年後輩のWTB/FB文銘一(むん・みょんいる)が加わる。文も大学で主将を務めた。智成と同じ職場、金融機関の朝銀西信用組合(本部・広島市)福岡支店で働くことになる。
「バックスリーはルリーロにいい選手が多いのですが、ミョンイルの強味、ハイパントとかディフェンスなどもしっかりできる。今シーズンからアーリーエントリーとしてグラウンドで15人として一緒に戦えることを願っています」(智成)。豊田HCも「スピードがある。近代ラグビーにおいては、バランスは劣るが一芸においては他にないものを持っている」と期待する。
「自分はチームでまだ5番目のHOと思っています」。そう自分を見つめるのはD1、ブラックラムズ東京HO李淳弘(り・すのん)だ。京都産業大から昨年春、アーリーエントリーで入った。昨年度、大学選手権でのケガのリハビリもあり出場機会はなかった。
高校3年時、淳弘は悩んだ。9月に大きなケガをした。花園に向けて、将来も考えた末に手術を受けてリハビリに励むも及ばず。花園は1回戦のみ17番をつけてジャージーを着たが出場は無し。仲間の4強入りを見届けた。京産大では2年から4年まで大学4強、国立の舞台を踏んだ。
今季、リーグワン第6節(1月24日)、三菱重工相模原ダイナボアーズ戦にリザーブ16番で初めてメンバー入りを果たした。レギュラーHO大内真のケガを受けて出場機会を得た格好。チームは7名のHOが在籍している。
この日は大西将史から引き継ぎ後半28分にグラウンドへ。すぐにスクラムがあった。相手の1番は安昌豪(あん・ちゃんほ)、2番が李承爀(り・すんひょ)。ともに大阪朝高の先輩だ。「中学生(大阪・大池中)のときに大阪朝高の試合を見て憧れていた世代でした。同じステージに立てていることが嬉しかった。初キャップだったので『おめでとう』と声をかけてもらえました」。
その後も2番が大西、16番は淳弘で7節から10節を経た。チームは2勝3敗から6勝4敗へ。特に2月28日のブレイブルーパス東京戦では5、6位決戦を勝利し5位に浮上。プレーオフの6位以内へ進めるチームに欠かせない存在になりたい。
「最初のダイナボアーズ戦は点を取り合うタフなゲームでした。その経験があったからこそ今、後半から出ることに臨めている。チームに入ったころはフィジカルの差は大きいと感じたのですがコンタクトの練習で学んで、だんだんとその差を縮めることができました。ラインアウト練習も質が高くて、ラインアウトの(ボール投入)レベルが上がっています」
話を聞いた2月14日の横浜キヤノンイーグルス戦。チームが前半リードを許した(13-17)。後半、逆転し34-17とした27分に交代で入る。直後の敵エリア右ラインアウトからボールを投入する。ラムズはSH、TJ・ペレナラのパスなどで継続し入団同期WTB秋濱悠太のリーグワン初トライへつながった。試合は55-31と快勝。
今後の課題について淳弘は「ケガ人が出て出番がまわってきました。そこで続けて出るようなパフォーマンスを出せていければ。セットプレー、スクラムを耐えるのでなくて押していけることが必要。優位にたてば試合もスムーズに進む。自分も持ち味をしっかり出していこうと。身体が小さい(172センチ/100キロ)ので、空いているスペースに運ぶためにはスピードや強さをつけていかないと、まだ突破は難しい」と分析する。
二人にはリーグワンに5名の大阪朝高同期が在籍している。最初にデビューしたのはダイナボアーズPR蔡唯志(ちぇ・ゆじ)。昨シーズンからレギュラーに。埼玉ワイルドナイツのSH李錦寿(り・くんす)は今季デビュー。D2日野レッドドルフィンズFB金昂平(きむ・あんぴょん)も開幕戦から出場する。
「同期と戦えるように上のレベルへいきます」(智成)。淳弘も対戦を楽しみにしている。
