ラグビーリパブリック

名将&名手に学ぶ。上村樹輝が誇るスティーラーズの「雰囲気」。

2026.03.04

上村樹輝[神戸S/SH](撮影:平本芳臣)

 コベルコ神戸スティーラーズが勢いを増している。

 ジャパンラグビーリーグワン1部では昨季まで2季連続で12チーム中5位となり、前年度より6傑が進めるプレーオフへ初めて進んでいた。

 さらに今季は、開幕から10戦9勝。元オーストラリア代表指揮官のデイブ・レニーヘッドコーチが指揮を執り3季目へ突入し、集団としての粘りを醸す。

「チームが一体となって試合を迎えている。全員が同じ画を見ています」

 こう語るのは上村樹輝。実質1年目のSHだ。帝京大では控え暮らしが続いたものの、大学選手権4連覇を達成。学生時代からチャンピオンシップの何たるかを知る若者は、スティーラーズの団結力の裏側にひとつの仕組みがあると説く。

「(部内に)ミニチームが4つあって、それぞれでミニゲームでの勝ちを目指す。それは世代に関係なく皆で楽しめています。雰囲気、めっちゃいいかなと」

 互いの仲を深めることで、戦術理解に関するすり合わせがしやすくなったという。

「『(人によって)喋りにくいなぁ』というのがあまりないので。年が離れていてもスムーズに(確認事項を)聞くことができる」

 かねて戦力は充実している。

 ニュージーランド代表109キャップで共同主将のブロディ・レタリックは、不動のLOとして君臨。大きくリードしてから交替したある試合で向こうに追い上げられ、その存在の大きさを証明したものだ。

 SOの位置ではキックのよいブリン・ガットランド、日本代表29キャップで共同主将の李承信が競い合う。20歳のタリ・イオアサがCTBに、天理大在学中でアーリーエントリーの上ノ坊駿介がFBにそれぞれつくなど、若手の台頭も目覚ましい。

 レタリックとともに「カテゴリC」の枠を埋めるのは、FLのアーディ・サべア、CTBのアントン・レイナートブラウン。それぞれニュージーランド代表で106、88ずつキャップを持つ戦士が、1年限りの加入でカンフル剤となっている。

 成熟しつつある文化のもとタレントが揃う。上村はその隊列を引っ張る。

 話をしたのは2月28日。浦安D-Rocksとの第10節を78―19で制した東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場でのことだ。この午後、今年度8回目の先発出場を果たしてトライも決めていた。

「最初はゲームを作らないといけない、うまいことやらないといけないというプレッシャーがあったんですけど、最近は周りを信頼してゲームの流れの中でリズムを作るように意識。変な緊張感はなくなりました」

 ボスの「レンズ」ことレニーに、背中を押される。

「ラグビーに真剣に向き合っている、文化を作るうえでいい方です。ちょっとした発言でチームを引き締めてもいます。僕はよく『精度』と言われます。『もっと精度を上げよう』と。ただ、ふざけるところはふざける。いい人でもある。絡みやすいかなと」

 ロールモデルがいる。日和佐篤だ。

 同じポジションで日本代表51キャップを獲得した38歳は、前年度まで不動のスターティングメンバーとして躍動しながらいまはインパクトプレーヤーに回る。目下スターターを託されている上村は、熟練者の普段の行いに感銘を受けている。

「ストレッチ、ちょっとした(仲間との)コミュニケーション、朝早く来ての準備…。フィールド内でいいプレーをするために、フィールド外のことをしっかりしているな…と」

 名手を見て学び、旧トップリーグ時代の2018年度以来となる日本一へまい進したい。

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