ハードスケジュールの只中にいる。
世界ランク1位の南アフリカ代表は昨年、計15試合を消化した。
そのうちテストマッチ(代表戦)は14試合。同年の日本代表のそれより3つ多い。
適宜ラインアップを入れ替えながらとはいえ、打倒王者に牙をむく上位国とのプレッシャーゲームを多数、乗り越えてきたこととなる。激務に映るのは確かだ。
代表チームのうち日本でプレーする面々は、11月まで国際舞台に立ったうえで12月からの国内リーグワンへ参戦。2023年までのラグビーワールドカップ2連覇を主軸として達成した熟練者にとっては、特に厳しい状況だったのではないか。
おかげでシーズン序盤戦では、当該のメンバーはどこか本調子から遠かったような。南アフリカ代表の熟練者を擁して上位争いをするクラブの幹部のひとりは、これから大物たちの出場時間をコントロールしなくてはならなくなるだろうと私見を述べる。それぞれに5月下旬からのプレーオフで本領を発揮してもらうためだ。
先を見据えたコンディショニングと目の前の試合への準備との両方が求められるリーグワンにあって、復調の兆しを覗かせる南アフリカ代表戦士がいる。
クワッガ・スミスだ。
身長180センチ、体重99キロの32歳。巨漢揃いのナショナルチームにあって、小柄なFW第3列ながらも接点周りできれと強靭さをアピールする。快足を活かしてトライも奪う。
2018年に静岡ブルーレヴズに加わり、現体制発足の‛23年度より主将を務める。いまに至る。
昨年11月の代表活動後、クラブは一定の休暇を与えてから合流させる策を取った。今季の出場は第2節からだ。
第4節以降はしばらく途中交代、リザーブ出場が続いたものの、2月14日の第8節では第3節以来3度目のフル出場を果たした。
この日、本拠地のヤマハスタジアムでは、随所に個性を放った。防御網の近くで球をもらう際の加速しながらの前進、自立した体勢から地面の相手ボールへ飛び掛かる動作…。
結局、19-42でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに7勝目を献上も、就任3シーズン目の藤井雄一郎監督は「調子は上がっている。何回も(相手から)ボールを獲っていた。FWをリードしていた」。代表遠征中も所属チームのトレーニングを確認するという誠実な職業人も、自らが上向きなのを強調した。
「テストマッチ終了後に状態を完璧に戻すには少し時間がかかるものですが、いまはシーズン当初よりも徐々によくなっている。このままいいパフォーマンスをし続けることで、もっと勝利にも近づけます」
現在3勝5敗で12チーム中7位。2季連続でのプレーオフ進出へは6位以内に入らねばならない。自身はもちろん、組織をより浮上させたい。前向きに説く。
「引き続き細かいミスをなくさないといけない。ただ、選手たちのエフォートは素晴らしかった」
件のスピアーズ戦。9点差を追う後半7分にチームが得意のパスワークと推進力でトライラインを割った。その際、相手の守備役が故意の落球を犯していた点を踏まえ、レフリーにペナルティートライの可能性について抗議。果たして要求通りの結末をもたらし、一時19-21と点差を詰めた。
謙虚な人物が一歩も引かぬ場合の迫力を示した。
本人は「ディフェンスにシニカルなプレーがあった。かつ自分たちはトライを獲り切った。だからペナルティートライでは。そう伝えました」と振り返った。
