現実を直視することから始めた。
ジャパンラグビーリーグワンで2連覇中の東芝ブレイブルーパス東京は2月7日、前年度11位の三重ホンダヒートとの第7節を38-44で落とした。敵地にあたる栃木のホンダヒート・グリーンスタジアムでミス、反則がかさんだ。
転んだらすぐに起き上がらなくてはいけない。爆発力のあるコベルコ神戸スティーラーズとの第8節を15日に控える。
ロブ・トンプソンは言う。
「先週は我々のスタンダードを落としてしまった。それを取り戻さなくてはいけませんでした。毎週、自分を厳しく見つめています。時には傷つくような振り返りを強いられますが、ここで落ち込まずに向上する気持ちでいます」
来たるスティーラーズ戦で今季8度目の出場となった34歳は、CTBで先発フル出場を果たした。その日、尻上がりに加速するチームの象徴となった。前半は向こうの圧力を前にエラーを重ねて7-20とリードされるも、ハーフタイム直前に展開してスコアしたことで勝ち筋を見出した。
「ワイドな位置にスペースがある。スキルを使ってそこへボールを運べさえすれば…とわかりました」
ハーフタイムには、その穴場へ首尾よく球を繋ぐための基本項目を整理した。
「より早く後ろのラインにパスを経由するよう、(技術と考え方を)見直しました」
果たして後半8分以降に3度トライゾーンを攻略するなどし、28-27と一時勝ち越した。渦中、トンプソンは、ファーストレシーバーとしてのさばき、27分のフィニッシュで気を吐いた。
33-34とされていた36分頃には、自陣22メートル線付近右でラインブレイク。味方がスティーラーズのキックを中央やや右寄りの位置で捕球し、接点を作った時点で、トンプソンはビジョンを描いていた。SHの杉山優平からパスをもらうや、予定通りであるかのように目の前の隙間をえぐった。
「ベンチスタートだったスギが、外から見ていて相手のキックオフの傾向をわかっていました。ずっと同じところへ蹴っていると。その瞬間、どこにスペースができるのかも把握していました。自分も同じように思って位置取りしていたら、スギと息が合いました」
結局、再逆転は叶わずシーズン3敗目を喫したが、歩みは止めない。チームの勝利と同時に、個人目標も胸に秘める。
2日、日本代表候補の55名に入った。身長184センチ、体重103キロの強靭なチャンスメーカーは、母国のニュージーランドから2020年に来日して’23年よりブレイブルーパスにいる。互いが切磋琢磨する環境のもと、進歩を感じている。
昨季からリーグで日本代表有資格者にあたる「カテゴリA」に遇されたのを機に、視線を、上向きにさせた。
「昨夏、肩の手術をしました。その時点で、日本代表入りを目標に定めました。カテゴリAになった時点で現実的になってきましたから。日本に来た当初は29歳。(当時のルールに沿った5年以上の連続居住による代表資格取得は)年齢的にあまり現実的ではないと思っていました。ただ実際にその年を迎えてみると、いまが一番いい状態なのです。まだまだやれる。国際舞台でもどこまで通用するか、どこまで人に影響を与えられるかが知りたくなりました。まだワイダースコッドですが、そのラインをクリアできたのは嬉しいです」
現在のジャパンはエディー・ジョーンズヘッドコーチのもと猛練習をすることで知られるが、トンプソンは「きついと聞いています。ただ、それも(限られた練習時間の)その一時でしょう。何でもやります」。ハードワークの先に成果があると信じる。
