目立つ見た目で渋く光った。
日野レッドドルフィンズの朝長駿は、1月31日、拠点近くの八王子市にある上柚木公園陸上競技場でジャパンラグビーリーグワン2部の第5節に出た。
身長182センチ、体重97キロの28歳。ブロンドヘアでプレーする。専業のプロ選手がチャレンジすることの多い髪色だが、朝長の場合は責任企業である日野自動車の「ES部品部」に在籍。トラック修理のための補給部品などの価格を決めるのがタスクだ。デスクでエクセルと向き合いながら、グラウンドへ出ている。
「毎シーズン、髪型を変えています。今季は会社の人に『もっと目立ってアピールして欲しい』と言われ、いっそのこと髪色を…と」
試合は、前年度1部との入替戦に出た豊田自動織機シャトルズに12-62と敗れた。もっともこの人は、仲間と塊を作るモールで身体を張り、接点の相手ボールにもしぶとく絡んだ。規律面やファーストタックルの精度について反省しながら、こう述べる。
「チームとしてやられているところは多かったですが、試合前にミーティングで話して(強調して)いたモールなどで、いいところを見せられたんじゃないかなと」
嬉しい出来事があったばかりだった。同月11日までの大学選手権で、母校の明大が7季ぶり14度目の優勝を果たした。自身が4年生だった2018年度以来の大学日本一だ。往時の名バイプレーヤーは、後進が挑んだ選手権決勝をこう振り返る。
「ひとりひとりが、個々で負けていなかった。ひとりひとりの目が勝ちに行く目でした。見ている側も勝つだろうと思って見ていました」
当時の思い出にも話が及ぶ。
朝長がチャンピオンになったシーズンの明大は、加盟する関東大学対抗戦Aで8チーム中4位扱い(同率3位)。名門に集まってきた全国の俊英が、潜在能力を最適化しきれていない印象を与えた。
もっとも12月から参戦の選手権に先立ち、その年度の4年生が決起集会を開いた。世田谷区内の寮の近くにある「味仙」という中華料理店の2階を貸し切り、朝長曰く「食べきれないぐらいの量」の料理をテーブルに並べてもらい、戦術面や練習運営について腹を割って話した。
当時の監督で現在は東京サントリーサンゴリアスのゼネラルマネージャーを務める田中澄憲が、最上級生だけで飲みに行くよう促したのが事の始まりだった。会合のきっかけが何だったかは知らなかったという朝長だが、その夜を境に結束したのは覚えている。
2025年度の後輩たちも、11月の慶大戦で辛勝したのをきっかけにミーティングの頻度と時間を増加。キック主体の簡潔な戦法を軸に据え、頂上まで駆け上がっている。
勤め人兼現役リーグワン戦士のOBは言う。
「明大はいいメンバーが揃う。組織としてまとまれば絶対に優勝する。僕らの代も話し合っていた。(現役部員についての詳細は)知らないですが、きっとそういうことがあったんじゃないかなと」
レッドドルフィンズは現在8チーム中最下位。学生時代に成功体験のある中堅プレーヤーは、「(大学選手権制覇は)自信になりました。あれ以上の緊張感を味わうことはそうない。それを耐えたことは、いまのラグビーにも活きています。いまは(年歴的に)中堅。自分とチームをどう前に進めるかを考えてやっています」と微笑んだ。
