流れを変えるとはこういうことだ。
クボタスピアーズ船橋・東京ベイの為房慶次朗は1月24日、国内リーグワン1部の第6節でリザーブ登録された。
前年度のファイナルで敗れた東芝ブレイブルーパス東京との一戦をベンチから見る。働き場は最前列の右PR。見せ場のスクラムにおいて、ちょうどプレーしていた仲間が苦しんでいるとわかった。
「ちょっと(姿勢が)高くて、結構、差し込まれていた。(出場すれば)持ち味の低さで対抗しようと思いました」
後半開始早々に出番を得た。日本代表でも定位置を争ったことのある同僚のオペティ・ヘルに代わっての登場だ。
そう時間が経たないうちに、自身にとっての1本目を組む。背筋を伸ばし、膝を落とし、鋭くぶつかった。圧をかけた。相手の反則を誘った。
その後もスピアーズは、自軍ボール、相手ボールを問わず、好プッシュとペナルティーキック獲得を積み重ねてゆく。
クラブは今季から元日本代表PRの山村亮アシスタントコーチを招いている。山村は現役時代、現静岡ブルーレヴズにあたるヤマハ発動機ジュビロに在籍。いずれジャパンも指導する長谷川慎アシスタントコーチに、緻密なパックの作り方を教わっていた。
確たる理論とあふれる情熱で知られる山村のコーチングを受け、スピアーズのFW陣はピッチに立っている。
為房の対面にあたるブレイブルーパスの左PR、木村星南は反省する。
「後半はヒットスピードで違う感触を受け、自分たちの強みを出すことができないことがいくつかあったかなと」
木村は前半、レフリーの合図で互いの身体をぶつけ合う「ヒット」の瞬間、攻防の境界線にあたる「センターライン」を乗り越えることが多かったという。おかげでその後の押し合いを優位に運べたが、後半はそのようにできたとは言い難かったようだ。スピアーズの「ヒット」が鋭くなっていたからだ。
日本代表で共闘した為房のニックネームを引き合いに、こう続ける。
「タメが出てきたからか、クボタさんがフォーカスポイントを変えてきたからなのかはわかりませんが」
一方で為房は簡潔に応じる。
「いい形で組めましたね。前半は流れがずっと悪かったので、スクラムで取り返そうと思っていました」
プレーの起点となるスクラムをコントロールできるようになったことで、スピアーズは形勢逆転した。後半は計2度の勝ち越し。為房としては、投入された時に3―12だったスコアを、37分に20―17にした。
その間にあたる26分には、スコアにも絡んでいた。
ちょうど自陣22メートル線付近中央で味方が攻守逆転するや、こぼれ球を拾い上げる。「たまたま目の前にボールが転がっていて、前が空いていたので、走ろうと」。まもなくチームメイトの鮮やかな連携が連なり、17―12とリードできた。
ラストワンプレーで20―24と逆転されるまでの間も、自陣ゴールライン付近で力強いタックルを披露していた。スクラムの姿勢に近い伸びた背筋のまま、走者の懐へ踏み込んでいた。
最後は初黒星を喫したとあり「(ブレイブルーパスの組織的な攻撃は)他のチームと比べて立ち位置(選手同士の間隔)が広くて、ハンドリングもうまかった。裏、表を使われて(アタックラインの手前側と奥側へ上手く球を散らしていたため)、こっちはディフェンスで後手になった。それを、チーム全体でしっかり見られるようにしたいです」と反省も、自らの状態には好感触がある。
「コンディションはとてもいいですし、自分が求められていることはできているかなと」
実質1年目のシーズンを終えた2024年からジャパンに絡み、昨秋の国内外キャンペーンでも強豪国に挑んだ。帰国後に開幕のリーグワンではスターターの機会は6戦中1度も、持ち場を全うする思いは変わらない。
「(先発の怪我などで)急に出る時もある。常に自分の準備にフォーカスしていきたい。まだ(リーグワンは)始まったばっかり。ここから全部勝ち続ければいいだけ。最終目標は優勝なので、そこに向かって修正すべきところは修正します」
リーグワン1部は休息週へ突入。2月上旬の再開へ心身をアップデートする。
