北海道に暮らし始めて丸7年が経とうとしている。
11月上旬ですでに積もっているという雪国暮らしに、「全然慣れません」と笑う。
サクラセブンズの三枝千晃は北海道バーバリアンズディアナの所属だ。
ここで強さの源である下半身を強化できた。
「冬はグラウンドで練習できません。その分、ウエートはかなりやっています」
国内シーズンの春夏も継続する。その時期は勤務先のメディカルシステムネットワークにフルタイムで働きながら、出社前の時間を使ってウエートに励む。
「朝7時開始が目標です。毎日やる気持ちではいますが、できない日もあります(笑)」
昨季のワールドシリーズでは、得意のラインブレイクでチームの躍進に貢献できた。狭いスペースに勢いよく走り込み、タックラーを振り解いてロングゲインを勝ち取った。
「試合で強みを出せたのはすごく嬉しかったです。でもそれは、チームメイトが良い仕掛けでスペースを空けてくれたおかげです」
ロサンゼルスでの最終戦は足首の捻挫で出場を逃すも、「ケガは付き物」と動じなかった。復帰すれば、元ブラックファーンズのクリスティン・コトレルHCから、NZ仕込みのスキルを学べた。
ラグビー後発組の三枝にとっては貴重な機会だった。
本格的に競技を始めたのは大学からだ。
中学はバスケ部、小山台高では陸上部だった。短距離と砲丸投げを両立した。
ラグビーとの出会いは偶然だった。高校3年時の体育の科目がラグビーだったのだ。
「室内か校庭かを選べて、校庭では通常、サッカーだそうなのですが、自分の高校はラグビーでした」
そこでハマった。大学で競技を本格的に始めると決めた。
「結構トライも取れたし、タックルもできた。コンタクトへの恐怖感もなくて。もう楽しくて楽しくて」
教員を目指して教育学部のある文教大に進学したことを機に、アルカス熊谷に加入した。キャンパスのあった越谷と、熊谷の距離感を見誤ったのは笑い話だ。
「キャンパスが埼玉だったので、県内のチームを探して…。移動に2時間かかるとは思いませんでし
た。東京のチームの方が近かったです」
はじめはレベルの高さに面食らったが、1学年上の山中美緒や小出深冬がサクラセブンズで活躍する姿を見るにつけ、「代表を目指したい」と思った。
「ついていくのも大変だったけど、先輩方がカッコよくて」
ただ、膝や足首などのケガが重なり、アルカスでの出場機会は限定的だった。卒業後に加わったディアナでの体づくりが、いまのパフォーマンスに繋がる。
東京五輪後の2021年9月から代表活動に参加、パリ五輪の舞台にも立てた。
「長くラグビーをやっている子と比べたら、スキルはまったく追いつけません。でも、私はすごく楽しんでラグビーをしています。そこでは負けずにやりたいです」
まもなく開幕のワールドシリーズは、大会方式の変更で昨季の上位8チームだけで戦う。「自分たちよりも強いチームしかいない」と微笑む。
タフな状況を、誰よりも楽しむ。
(文/明石尚之)
※ラグビーマガジン1月号(11月27日発売)の「セブンズ女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は11月15日時点。
