ラグビーリパブリック

79得点快勝のきっかけはオペティ・ヘル。代表復帰にも意欲。

2025.12.31

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのオペティ・ヘル(撮影:早浪章弘)

 ビッグスコアのきっかけを作った。

 12月27日、東京・秩父宮ラグビー場。国内リーグワン1部の第3節にあって唯一の全勝対決があり、クボタスピアーズ船橋・東京ベイからのキックオフで試合が始まった。

 スピアーズ側から見て右奥のスペースに楕円球が飛び、対する東京サントリーサンゴリアスが確保した。

 ここへ圧をかけたのが、スピアーズの大型パックである。

 身長190センチ、体重127キロで右PRのオペティ・ヘルが、身長189センチ、体重117キロでHOのマルコム・マークスとともに捕球役を羽交い絞めにした。

 一線級が集まる舞台にあっても、この両者の身体の厚み、腰の強さ、腕力は際立っていた。ヘルはそのままボールをもぎ取り、攻めに転じてペナルティーキックを得た。

 3-0。速やかに先行した。結局この80分は、79-20という大差で締めた。

 最初にスピアーズの力を示した格好のヘルは、件のターンオーバーのシーンについて微笑みながら言う。

「特別なことはありません。スピアーズのシステムを信頼した結果です」

 ここでの「システム」とは、スコット・マクラウドアシスタントコーチの唱える守り方を指す。想定される向こうの攻めどころを埋め、複数名が横一線になって前に出て、1人の走者を2人で仕留める。球出しを鈍らせる間に、次の防御ラインを整える。

 ゲームを通して機能したこの連鎖において、ヘルは自慢のパワーを発揮した。サンゴリアスの攻めに圧力を与えた。

「今週の準備がよかった。サンゴリアスのアタックに対応すべく、ボールにアタックできた」

 ただの力任せではなかった。

 20日の千葉・フクダ電子アリーナでの第2節においては、戦ったリコーブラックラムズ東京の約3倍にあたる15のペナルティーキックを与えた。50-28で快勝しながら、規律面を反省した。

 その流れでサンゴリアス戦を迎えたおかげで、ペナルティーキックの数は対戦チームよりも5、少ない6に抑えた。

 攻めても好突進を連発し、後半5分までプレーしたヘルは、こう意識していた。

「自分たちがコントロールできることをコントロールしよう」

 27歳。トンガにルーツを持ち、スピアーズで才能を爆発させた。昨年には日本代表デビューを果たした。故障の影響で今年のナショナルチームには絡めなかったが、国際舞台への思いは消えない。

 ’27年には、過去に留学経験のあるオーストラリアでワールドカップがあるのを知る。地に足をつけた言葉に、大志をにじませる。

「目標は代表入りですし、チャンスがあればその座を掴みたいとは考えます。ワールドカップはラグビー選手にとって最高の舞台です。ただ、いまのフォーカスはクボタです」

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