紳士的に主張する。
「私はトライだと思いました。もっともレフリーの判断を尊重しなければなりませんが」
12月21日、埼玉・熊谷ラグビー場。浦安D-Rocksのサム・ケレビが、国内リーグワン1部・第2節にCTBとして先発した。
審議があったのは前半5分頃だ。
敵陣22メートルエリア左中間で、ケレビが防御の裏側へ球を蹴る。追う。
インゴールエリアで球に手をつけてトライしたかと思われたが、ビデオ判定の末に無得点となった。カバーに回った相手と同時にグラウンディングしたと見られたためだ。
結局、チームは、旧トップリーグ時代を含め5度優勝の難敵に19-37で惜敗。今季初黒星を喫した。
オーストラリア代表50キャップの32歳は、再三の好突進を披露しながら反省した。
「ワイルドナイツは精度の高い洗練されたチーム。(制するには)もっとうまくならないと」
身長186センチ、体重106キロ。2019年に来日し、こちらも5回の日本一を経験する現東京サントリーサンゴリアスで4シーズンプレーした。
23年度に新天地に選んだD-Rocksでは2部スタート。昨季1部に初挑戦も、12チーム中最下位に終わった。昨季オフはマネジメント層と指導陣が改まった。組織文化を作る最中のクラブにあって、ケレビは現体制に手応えを掴む。
S&C部門を束ねる奥野純平ハイパフォーマンスコーチ、元慶大ヘッドコーチの栗原徹ら首脳陣の大半は前年度と変わらず。それでもグラハム・ラウンツリー新ヘッドコーチのもと、一貫性が高まったという。
「踏ん張る力が備わりました。トップからの指示により、プレシーズンからS&C陣に追い込んでもらっていました。ここ数年とは違うチームになっています。首脳陣が共通認識を持っています。我々が仕事をこなすうえで、クリアなメッセージ性を持たせてくれています」
イングランド代表アシスタントコーチやアイルランドのアルスターでのヘッドコーチなどを歴任した新指揮官には、こんな印象も抱く。
「おどけるところもあります。経験豊富で、チームのバランスや選手のコンディションの整え方を熟知しています。信頼があります。(練習では)必要な強度を与えてくれ、勝つマインドを育めています」
28日には、前年度4強の静岡ブルーレヴズとの第3節を敵地のヤマハスタジアムでおこなう。ケレビは展望する。
「(今後は)自信を積み上げていきたいです。毎週、毎週、成長する。全員がいいスキルをつけ、いいパフォーマンスをできるようになれば」
