ラグビーリパブリック

反則には厳しくありたい。スピアーズ藤原忍が抱く「責任感」。

2025.12.26

12月20日・BR東京戦でチームの勝利に貢献した藤原忍[S東京ベイ/SH](©︎JRLO)

 この人に隙を見せてはならぬと、藤原忍は思わせる。

 圧力を受けている接点からも素早く球を取り出し、外連味のない仕掛けとパスを繰り出す。守っても遠くの標的を目掛け、猛然と圧をかける。

 クボタスピアーズ船橋・東京ベイの元気なSHは、12月20日、千葉・フクダ電子アリーナでリコーブラックラムズ東京と対峙。ジャパンラグビーリーグワンの第2節へ、初戦から続けての先発出場だ。

 19-10と先行して迎えた前半35分頃には、防御ラインへ鋭く仕掛けながら奥側へふわりと球を蹴る。落下地点で味方がカウンターラックを決める。そちらへサポートについた藤原がさらに前進し、追加点をお膳立てした。トライとコンバージョンで24-10とした。

 一連の場面について、殊勲の26歳はこう述べる。

「あれはサイン(定まった動き)で。本当は味方に(蹴った球を直接)捕らせるのがベスト。もう少し(キックの)高さと距離を修正したいです」

 できたことにただ満足するわけではないのだ。

 結局、50-28で開幕2連勝を決めたのを振り返っても、反則数が向こうより「11」も多い「15(フリーキックを除く)」だったのを反省する。

「チームに『こうしたらだめだ』という危機感を持たせないと。神戸戦(20日の第1節/コベルコ神戸スティーラーズ/ノエビアスタジアム神戸/⚪︎33-28)もそうでしたけど、ペナルティーで苦しい状態に『自分たちから』して…というケースになっている。特に、ディフェンスのブレイクダウンで(ペナライズされることが)多い。練習から厳しくやらないと」

 規律を重んじるのは自然か。上位国から少機を手繰り寄せるのが常の日本代表に加わって2年目に突入し、19キャップ(代表戦出場数)を手にしてきた。

 反則禍がたたって上位国に敗れたこともあるだけに、優勢だった国内公式戦でもディシプリンにシビアだ。

 嘆くだけではない。後半6分、チームの反則の繰り返しで味方FLのタイラー・ポールにシンビン(10分間の一時退場処分)が出された時のことだ。

 その瞬間、藤原は「ナード、ルアン(・ボタ=)と話して…」。空中戦のラインアウトから使えるプレーに制限が出る事実を、仲間と再確認した。有事に落ち着いて最善手を探り、集団をパニックに陥れなかった。

 さかのぼって今秋、日本代表として臨んだ代表戦で味方へのイエローカード発出が続いた。この時点で、不在の選手が誰なのかに応じ、使うムーブや戦術を冷静に取捨選択する必要性を痛感していたのだ。ナショナルチームで得た学びを、スピアーズで活かしている。

 ちなみに昨秋の代表活動の終盤、試合のメンバーから外れることがあった。エディー・ジョーンズヘッドコーチからは「一貫性を持ったプレー」を求められた。帰国後も、有事に揺るがぬ心技体を磨く。

「試合をしっかりマネージメントできるようにしていきたいです。ナード(SOのバーナード・フォーリー)だけに頼らず、9番として責任を持ったプレーができたら」

 与えられた宿題と向き合いながら、チームを頂点に近づける。27日には東京・秩父宮ラグビー場で、東京サントリーサンゴリアスとの全勝対決に挑む。

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