ラグビーリパブリック

「我々には潜在的にその(優勝の)可能性がある」。2027年W杯プール組分け抽選後のフランス代表ガルチエHC記者会見リポート。

2025.12.04

プール組分け決定を受けて意気込みを語ったファビアン・ガルチエHC(Photo/Getty Images)

 ラグビーワールドカップ(W杯)2027オーストラリア大会のプール組分け抽選会が終了し、フランスは日本と同組のプールEに入った。抽選会の後にパリで行われたファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(HC)の記者会見の模様を伝える。

 まず、記者団からは、抽選結果に対する楽観的な見方がぶつけられた。

「比較的楽なプール、むしろ簡単な、と言ってもいいでしょう。そして、準決勝まではプールの1位通過国とは当たらないようで、あまり難しくない道のりのようですが、この抽選についてコメントをお願いします」

 この問いかけに対し、ガルチエHCは冷静に応じた。

「この抽選は、我々を大会へと突き動かしました。もうすぐそこです、もうすでにオーストラリアです。我々が固唾を飲んで待ち望んでいるこのW杯です。バンド1の国として、我々は突破しやすいプールになるだろうと予想していました。しかし、当然ながら、我々が対戦する、そして予選を勝ち上がってきたチームには敬意を払わなければなりません。準決勝まで勝ち進んだ場合、そのブロックにはオーストラリアまたはニュージーランド、そして南アフリカが位置しています。このブロックには9つの世界チャンピオンタイトルが存在する可能性があるのです」

 続いて、記者が「比較的くみしやすいチームから始めることは、大会に弾みをつける良い方法だとお考えですか? それとも、2023年大会のように、いきなり強敵と対戦することを望まれましたか?」という質問を重ねると、HCは慎重に言葉を選びながら見解を述べた。

「我々に好みはありません。ラグビーW杯は主要なスポーツイベントの中でも最も長いものです。ラウンド・オブ・16が追加されたことで、準決勝に進むチームは2か月間にわたり、7試合を戦うことになります。我々のプールでは、すでに日本とは対戦しています。(2020年の彼の就任以来、4回)。アメリカとは2019年のW杯で対戦しました。そしてあまり対戦したことのないサモアがいます。我々が最もよく知っているチームは日本であり、来年の夏、東京で対戦する予定です。このプールは、あくまで比較的くみしやすいと言えるでしょう。もちろん、対戦相手には最大限の敬意を払います。ラウンド・オブ・16と準々決勝がより困難になることを考えると、徐々に力を上げていくには完璧な形です」

 2023年大会では自国開催かつニュージーランドとの開幕戦という特殊なスタートだったことから、「今回のW杯に向けた準備をどのように見ているのか?」という質問が出た。

「すでに分かっているのは、トップ14の決勝戦から、我々の準備期間の開始までに、2023年大会よりも2週間長く取れるということです。決勝進出者にはリカバリーのための期間として1か月間が与えられます。我々は4週間の準備期間を終えた後に、ヨーロッパで準備試合を3試合予定しています。対戦相手については、組み合わせ抽選の結果を待って確定させる予定でしたので、現時点ではこれ以上お伝えできません。非常に質の高い調整試合が3試合になるでしょう。その後、オーストラリアに移動して、時差の調整に十分な時間を確保しながら環境への適応が必要になります。トップ14の終了からW杯の終了まで、5か月間の全体像を描いています。内訳は、1か月のリカバリー、2か月の準備期間、そして最大2か月の大会期間です」

 プールの構成から「どのように強度を上げていくのでしょうか? 強豪国がいません。ヨーロッパの強豪国と対戦することで解決しますか?」という踏み込んだ質問に対して、HCは「それは計画済みです」と笑みを浮かべ、国際試合の少なさを強調しながら準備試合の重要性を説いた。

「同じプールや同じブロックに入らないであろう対戦相手を見定めるため抽選結果を待っていました。対戦相手については、1か月以内に発表する予定です。準備期間に3試合を戦うことは重要です。私見では、7月の遠征は(トップ14決勝進出者を除いた)再構築されたチームで活動するため、我々の国際試合はわずか8試合(11月のテストマッチとシックスネーションズ)しかないのです。

 2026年には9試合(シックスネーションズで5試合、ネーションズチャンピオンシップの11月の順位決定戦を含む4試合)、そして2027年のシックスネーションズがあります。試合数が少ないのです。夏の遠征を数えれば17試合、さらに7月の遠征前にイングランド戦を加えれば18試合です。ですから、準備試合を3試合行うことは非常に有益です。でも、2023年大会のように4試合は組みません。オーストラリアへ出発する前に、選手たちにリカバリーの時間を与えなければならないからです。現地での適応期間も必要となります。我々は問題点を解決するために試合をする必要がありますが、3試合はローテーションを考慮すると多すぎず少なすぎず、ちょうど良い数です」

 次に「世界ランキング1位、そして2大会連続のW杯王者である南アフリカを、今回の大会の脅威と見なしてもよいでしょうか?」との質問が飛んだ。

 ガルチエHCは、南アフリカの強さを認めつつも、その前に立ちはだかる強豪の存在を忘れてはならないと釘を刺した。

「となると、あなたはすでにオーストラリアとニュージーランドを脅威から外しているのですね(笑み)。気をつけてください。開催国であるオーストラリアは、特別に準備を進め、プール戦でニュージーランドと対戦します。彼らはすでに2度、ニュージーランドは3度ワールドカップで優勝していますから、どちらの国も非常に強い意欲を持って結果を出すことに野心を持っています」

 そして、「もちろん、世界ランキング1位であり、現在2大会連続チャンピオンである南アフリカは、世界のラグビー界を席巻しています。我々にとっては、準決勝で対戦する可能性のある相手です。ですが、まずは勝ち上がらなければならない。もし実現すれば壮大な試合になるでしょう。ただし、我々がプール戦を1位で通過することが条件ですが…」と続けた。

 大会の2年前に抽選会が行われたことについて、「残念に思うことはないか?」と問われると、

 HCは「ランキングがこの時点からそれほど大きく動くことはないでしょう。この抽選会のタイミングが批判されている理由が私には分かりません」と前置きした上で、抽選をこのタイミングで行うメリットを説いた。

「今行うことで、各チームは比較的早く、ベースキャンプ地や試合会場を知ることができます。また、サポーターにとってはオーストラリアへの渡航は相当な出費であることを想像してください。ほとんどの国にとって遠く離れた地です。サポーターやチケット販売などをサポートする目的があるのでしょう」

 さらに選手たちへのメッセージも織り交ぜた。

「世界的な視点で見れば、2年前に抽選会を開催するのは良いタイミングです。我々にとっては、実際には18か月を切っています。なぜなら、最後の主要な大会は2027年のシックスネーションズになるからです。それが、選手たちが自分をアピールし、結果を出し、このワールドカップ行きの切符を勝ち取る最後の機会となるでしょう。ですから、選手たちは2026年のシックスネーションズ、7月と11月のネーションズチャンピオンシップ、そして2027年のシックスネーションズで結果を出し、アピールする必要があります。オーストラリア行きの飛行機に乗るために掴まなければならないチャンスは、非常に稀です。それを見逃してはなりません」

「防衛するべきタイトルがある、2か月後のシックスネーションズにどれほどの重要性を置くか?」という質問に、HCはフランスラグビーの歴史を振り返りながら答えた。

「フランス代表が最後にシックスネーションズのタイトルを防衛したのは1997年、1998年だったと思います。プロラグビーが始まった初期の頃で、2連覇だったはずです。ですから、我々にとって、この偉業に挑戦することは非常に興味深いことです」

 また来年は、2月6日金曜日に開催されるミラノ・コルティナ冬季オリンピック開会式と重なるのを避けるために、ラグビーのアイルランドとの開幕戦が前日の木曜夜に組まれている。「準備期間が3日間短縮されます」と日程の特殊性に触れた。

 その上で、HCはこの記者会見の場を使い、選手たちへプレッシャーを送った。

「選手たちに改めて思い出させたいのは、シックスネーションズまでクラブに戻って9週間を過ごすとしても、11月の4週間で我々が取り組んだことを忘れてはならないということです」

 具体的な課題は、11月のテストマッチで指摘されたディフェンス面に集中している。

「ディフェンスの動き、ダブルタックル、タックルを完了させる方法、ロールアウトしてゾーンから離れる方法、ディフェンスのオフサイドラインへの意識を高めることなどです。選手たちに対し、これらの個人的な課題をクラブでの日常の中で練習するように提案しています。このシックスネーションズは、11月に取り組んだことを最大限に活用するために役立つはずです。そして何よりも、チーム内で競争意識を生み出し続け、代表ジャージーを着るための競争を促す、まさにそのタイミングなのです」

 会見の終盤、直球ど真ん中の質問が投げられた。

「フランス代表は2年後に世界チャンピオンになれるでしょうか?」

 レ・ブルーの指揮官は、究極の回答で締めくくった。

「はい。それが我々の目標です。私は非常に明確に『はい』と答えます。この究極の目標を達成するのは非常に困難でしょう。しかし、フランスラグビーはまだ一度もW杯優勝を成し遂げていません。我々の目標は、フランスラグビー史上初めてそれを実現することです。我々には潜在的にその可能性がある。潜在的に、ね」

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